第1四半期GDP成長率(確定値)、前期比年率マイナス4.9%の大幅減

(メキシコ)

メキシコ発

2020年06月03日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)は5月26日、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率の確定値を発表した(添付資料参照)。前期比(季節調整済み)の成長率はマイナス1.24%で、4月30日に発表した速報値のマイナス1.55%(2020年5月8日記事参照)から上方修正されたが、2019年第2四半期(4~6月)から4期連続のマイナス成長となっている。前期比成長率を日本や米国のように年率換算するとマイナス4.9%となる。前年同期比ではマイナス1.37%となり、前期比同様に4期連続でマイナスとなった。

産業分野別成長率を前期比でみると、農牧・林業・水産分野はプラス1.75%だったが、鉱工業、サービス産業はマイナス成長となった。

鉱工業について、製造業は前期比マイナス1.95%、前年同期比マイナス2.87%と落ち込んだ。製造業のうち、特に自動車などの輸送機器製造は前年同期比マイナス8.14%と大きく落ち込んだ。建設業も前期比、前年同期比ともにマイナス成長となった(それぞれマイナス0.28%、同8.22%)。一方、鉱業は2019年第2四半期(4~6月)まで6四半期連続で前期比マイナス成長だったが、2019年第3四半期(7~9月)からプラスに転じている。また、前年同期比ではプラス4.18%とこれまで23四半期連続でマイナス成長だったものがプラスに転じた。新たに開発された鉱区の産油量増加が貢献したかたちだ。鉱工業セクター全体では前期比マイナス1.24%となった。

サービス産業では、小売業が前年同期比で0.77%とかろうじてプラス成長したが、前期比でみるとマイナス2.25%と減速を示している。その他、不動産・賃貸業など一部を除くとサービス産業はいずれの業種も減退した。

中央銀行が2020年の経済成長率見通しを大きく引き下げ

メキシコ政府が新型コロナウイルスの感染防止を目的とした非常事態宣言を発令したのは3月30日。つまり、1~3月の景気後退は「コロナ危機下」ではなく「平常時」で生じたものであり、新型コロナウイルス対策による経済活動休止の影響が出てくるのは4月以降になる。

中央銀行は5月27日、2020年第1四半期経済報告を発表した。新型コロナウイルス感染拡大による非常事態を特筆し、メキシコの2020年の経済成長率見通しを従来の0.5~1.5%から、マイナス4.6~マイナス8.8%に大幅に下方修正した。また、中央銀行は報告書の中で2020年中に最大で140万人の雇用が失われると予測している。

(中井健太)

(メキシコ)

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