2020年第1四半期GDP成長率は1.9%

(ナイジェリア)

ラゴス発

2020年06月04日

ナイジェリア国家統計局は5月26日、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を1.9%と発表した。2019年第4四半期の2.6%から0.7ポイント減少した(添付資料表参照)。統計局は減速の要因として、新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴う原油価格の急落や、貿易の制限などの影響を受けたと分析し、今後、さらなる減速の可能性を示唆している。

鉱業部門は4.6%で、前期の6.1%から1.5ポイント減少した。分野別では、原油および天然ガス分野が5.1%で前期の6.4%から1.3ポイント減少した。原油生産量は日量207万バレル(コンデンセートを除く)と、前期より日量7万バレル増加したが、年初に約70ドルだった原油価格(OPECバスケット)が、3月末には22ドルにまで下落したことが要因とみられる。

非鉱業部門は1.6%で、前期の2.1%から0.5ポイント減少した。分野別では、製造業(0.4%)やホテル・外食産業(マイナス3.0%)などが不調だった一方、前期と同様に情報通信(7.6%)や金融・保険(20.8%)は高い成長率を維持した。金融部門の高成長は、ナイジェリア中央銀行(CBN)が2019年10月に市中銀行に対し、2020年3月末までに預貸率を65%へ引き上げるよう義務付けたことを受けて融資が増加したことや、Diamond BankとAccess Bankの合併も影響したとみられる。

一方で、多くの銀行が預貸率65%への引き上げを達成できず、罰則として預貸率の分母となる預金をCBNに準備預金として預入させ、分母を縮小させ預貸率を上げることとなった。さらに、CBNはインフレ抑制のため、1月に預金準備率を22.5%から27.5%に引き上げた。この金融引き締めによって、貸し出し以外に運用できる資金は総預金の7.5%のみとなり、海外投資家が通貨ナイラ切り下げで損失を出した短期金融商品を売却しようとしても、銀行が流動性不足で買い取れず、海外への資金流出を防ぐ効果を持った、と現地のエコノミストは分析している。

IMFは4月に、ナイジェリアの2020年の成長率予測をマイナス3.4%と発表、4月30日には340億ドルの緊急財政支援を決定した。CBNも5月28日に政策金利を13.5%から12.5%に引き下げ、金融緩和にかじを切っているものの、国境・州境封鎖によるサプライチェーンの寸断(2019年10月10日記事参照)や、ナイジェリア税関が4月23日に輸入関税の換算レートを1ドル=326ナイラからCBN公定レートである361ナイラへと切り下げたことによる輸入関税負担の増加など、外国企業にとって厳しい事業環境が続いている。

(西澤成世、谷波拓真)

(ナイジェリア)

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