フォードとフォルクスワーゲンが包括提携、商用バンやEVで協力

(米国)

シカゴ発

2020年06月12日

米国自動車大手デトロイトスリーの一角であるフォード・モーターは6月10日、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)との包括提携に調印したと発表した。約800万台の商用車を共同で生産し、2社間で数十億ドルの経費削減を見込む。両者の提携は北米以外の市場を対象としており、資本提携は行わない方針だ。両者は2018年に戦略的提携の覚書を取り交わし(2018年6月27日記事参照)、2019年にはAV・EV分野での業務提携(2019年7月18日記事参照)を発表しており、今回の調印はこれらの提携の一環となる。

フォードの社長兼最高経営責任者(CEO)のジム・ハケット氏によれば、今回の共同生産は早ければ2021年にも開始され、複数年は継続する見込みという。フォードは2022年までの総額110億ドルにおよぶ再建プランの中で、商用車からの利益を自動運転や電気自動車(EV)といった先端技術に当てる計画を立てている。同社のジム・ファーリー最高執行責任者(COO)はプレスリリースで「商用車は現在のフォードにとって基盤のビジネスであり、今後成長を目指す分野でもある。VWとの提携は両者にとって財務上の大きな優位性をもたらす」と述べた。さらに、今後はフォードが欧州で販売するフルサイズの商用バン「トランジット」や、主力のピックアップ「F-150」のEVを24カ月以内に米国市場に投入し、ゼロエミッションやコネクテッドカー、AIといったニーズに応えると発表した。

今回の提携により、VWが開発・生産する商用バンや、フォードが開発する積載量1トンの商用バン、さらにVWがフォードの中型ピックアップ「レンジャー」のプラットフォームを用いて開発するピックアップ・トラックを相互に供給する。また、フォードは2023年から欧州市場向けにVWのEVプラットフォーム(車体などの基本部分)をベースとした車両を生産し、数年かけて60万台規模の生産を目指す。

(河内章)

(米国)

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