WTO、世界の財貿易は2020年に急減も、最悪のシナリオは回避と予測

(世界)

国際経済課

2020年06月24日

WTOは6月23日、新型コロナウイルス感染(以下、新型コロナ)拡大の影響で、世界貿易は2020年前半に急減するとの見通しを発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2020年通年でも急減するものの、4月に予測した最悪のシナリオに達する可能性は低いとの見方を示した。

WTOによると、2020年第1四半期(1~3月)の世界の財貿易量は前年同期比3%減だった。第2四半期(4~6月)については、新型コロナおよび関連するロックダウン措置が世界の人口の大部分に影響を及ぼした時期であることから、同18.5%減と予測した。WTOは新型コロナ拡大防止策が徐々に緩和されていることから、世界貿易は第2四半期に底打ちする可能性があるとしながらも、回復に関する確定的な結論が出るまでは引き続き動向を注視する必要があるとくぎを刺した。

2020年通年では、世界の財貿易量は急激な減少を記録するものの、政府の迅速な対応が貿易縮小の緩和につながったことから、4月に予測した悲観シナリオに達する可能性は低下したとの見方を示した。4月に発表した悲観シナリオでは、2020年の世界貿易は最大31.9%減と想定していた(2020年4月10日記事参照)。

2021年の見通しについては、5~20%増と予測しながらも、新型コロナ拡大の第2波や経済成長の鈍化、貿易制限措置の拡大などによって、貿易の増加は予測を下回る可能性があると指摘した。

WTOのアゼべド事務局長は「現在も続いている(新型コロナ拡大による)生産と貿易に対する打撃を緩和する上で、政策決定が重要だった。(今後も)政策決定は景気回復のペースを決める重要な役割を果たす。2021年に生産や貿易が力強く回復するためには、財政と金融、貿易政策が方向性を同じくする必要がある」と述べた。

(柏瀬あすか)

(世界)

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