欧州委員会、ウクライナへの5億ユーロの融資実行を承認

(ウクライナ、EU)

欧州ロシアCIS課

2020年06月02日

欧州委員会は5月29日、ウクライナに対する5億ユーロの融資実行を承認した。ウクライナの経済安定化と改革の加速化が目的で、第4回マクロ財政支援(MFA IV)プログラムの一部。

MFAとは、国際収支上の問題が発生している近隣国に向けたEUによる危機対応手段の1つ。長期かつ低金利の融資プログラムで、IMFによる財政支援(2018年12月25日記事参照)と協調して行われる。MFAに必要な資金はEUが資本市場を通じて調達する。既に4つのプログラムが実施されており(添付資料表参照)、今回は2018年9月にEUとウクライナが締結したMFA IVに関する覚書に基づく2回目の融資実行を承認した。1回目(5億ユーロ)は2018年12月に供与されている。

欧州委員会のバルディス・ドムブロフスキス上級副委員長(人のために機能する経済政策総括兼金融サービス政策担当)は「ウクライナは欧州にとって引き続き重要なテーマ。われわれは強靭(きょうじん)な経済構築に向けた改革の支援に注力する」と述べた。一方、欧州委員会は、今回の承認に基づく実際の融資実行はEUとウクライナが合意した腐敗対策や資金洗浄、公的資金管理、銀行、エネルギー、ヘルスケア、社会政策など12項目の実現次第としている。

2014年以降のEUによるウクライナへのMFA枠組みでの融資総額は38億ドルに上り、EUが1カ国に供与する金額としては最大規模に達している。これ以外にも、EUは技術支援や人道支援、インフラ整備と中小企業向けの投資支援などさまざまな方法でウクライナを支援している。さらに、新型コロナウイルス感染拡大による経済の落ち込みを下支えするプログラムの一環として、12億ユーロに上るMFA融資も現在検討している。

(齋藤寛)

(ウクライナ、EU)

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