2020年のGDP成長率見込みは3.6%

(コートジボワール)

アビジャン発

2020年06月26日

コートジボワール経済財政省が6月15日に発表した統計PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2019年の実質GDP成長率は6.9%となり、前年の6.8%とほぼ同水準となった。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、年初見通しの7.2%を大幅に下回る3.6%と予測している。

2019年は、設備投資や個人消費を中心に内需が堅調を維持し、輸出の好調も成長を後押しした。需要項目別では、GDPの約7割を占める民間最終消費支出が雇用・所得環境の改善を背景に4.6%増となった。政府最終消費支出は4.3%伸びた。総固定資本形成は、企業の設備投資や建設投資の好調に支えられ、9.8%の伸びとなった。政府による経済改革の推進やインフラ支出の増加、中小企業向け金融支援策、企業の収益性改善などがプラスに作用し、企業の投資マインドに改善がみられた。

産業別にみると、第一次産業は、良好な天候と植物栽培環境の改善、生産地帯へのアクセス向上、生産者価格の引き上げにより、輸出用作物や食用作物など農業生産を中心に好調だったことから、3.6%の伸びとなった。第二次産業は、生産能力の拡大、競争力の強化、国内外の需要増に後押しされ、農産品加工、建設、石油精製、鉱物資源採掘をはじめ、ほぼ全ての部門が好調に推移し、10.4%増加した。唯一不振だったのはエネルギー部門で、前年比3.3%減だった。第三次産業は、経済活動の活発化や雇用・所得環境の改善、インフラ整備、物価抑制策、融資アクセスの改善により、電気通信や運輸、商業など軒並み好調に推移し、6.6%増となった。

2020年はカカオ生産の減少で農業部門が不振の見込み

政府は2020年の経済見通しについて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による外需の落ち込みや、世界的なサプライチェーンの混乱に加え、投資マインドの冷え込み、封鎖措置や行動規制など一連の感染阻止対策による経済への影響が甚大としながらも、国内の感染拡大が6月までに収束し、制限措置が段階的に解除されることを前提に、経済成長率を3.6%と予測している。

第一次産業は、一次産品の国際市況の低迷や、カカオ生産の減少による輸出用作物の不調が響き、2.0%減を見込む。第二次産業は、国際市況の低迷を背景に、石油精製と鉱物資源採掘部門の不振が見込まれるが、需要の増加による農産品加工、建設、エネルギー部門の好調により、5.1%の伸びが予測される。第三次産業は、政策支援などによる経済活動の回復に伴い5.0%増を見込む。最終消費支出と総固定資本形成はそれぞれ、3.0%、5.9%の伸びが見込まれる。

なお、IMFは4月14日発表の「世界経済見通し」で、2020年のコートジボワールの実質GDP成長率を2.7%と予測。2021年には8.7%と急回復し、アフリカ地域でも上位の成長率になるとみている。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

ビジネス短信 ad014a0cacdf0bfb