高速鉄道計画、2020年12月末までの延期で合意、補償金は発生せず

(マレーシア、シンガポール)

クアラルンプール発

2020年06月24日

モハマド・アズミン・アリ国際貿易産業相は6月17日、クアラルンプール~シンガポール間高速鉄道(HSR)について、5月31日に合意した2020年12月31日までの建設計画の再延期に対するシンガポール政府への補償金は発生しないと発表した。

両国政府はHSRの建設について2016年12月に合意したが、2018年5月にマレーシアで政権交代が起こり、多額の連邦債務が発覚したことから、同年9月に2020年5月末まで建設計画の履行を延期していた(2018年9月18日記事参照)。2度目の延長となる今回は、計画を再開するための費用や技術面での再検討にさらに時間が必要として、マレーシア政府から再度延期を申し入れた。新型コロナウイルスの影響も考慮し、両国政府は5月31日、2020年12月末までの延期に合意している。

1度目の延期の際には、マレーシア政府はシンガポール政府に1,500万シンガポール・ドル(約11億5,000万円、Sドル、1Sドル=約77円)の補償金を支払ったが、今回は補償金が発生しない。また、前回はHSRの開業予定が2026年から2031年に変更されたが、今回は開業時期については言及しなかった。

両国政府はHSR計画に前向きな姿勢

アズミン・アリ国際貿易産業相は、「(HSR計画は)両国にとって利益になる」と述べ、近日中に技術者チームを招集して検討を開始する意向だ。また、シンガポールのコー・ブンワン運輸相は5月31日に自身のフェイスブックで2020年12月末までの延期について、「マレーシアが再検討案の詳細を詰め、両国がその案を検討するのに充分な時間だ」と述べた。その上で、コー運輸相は「HSRは複雑なプロジェクトであり、見直しが当初の目的とは異ならいようにすることが重要」と強調した。

(田中麻理、本田智津絵)

(マレーシア、シンガポール)

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