新型コロナの影響により、スイスでも「ソフトモビリティ」が進む

(スイス)

ジュネーブ発

2020年06月09日

新型コロナウイルスの影響による活動制限措置や感染予防のため、人々の移動手段が、公共交通機関や自動車から自転車や徒歩にシフトする「ソフトモビリティ」の動きが、スイスでも加速している。チューリッヒ連邦工科大学とバーゼル大学による、スマートフォンアプリを用いた移動実態調査結果(5月25日発表)によれば、非常事態宣言により活動制限措置が開始された3月16日以降、電車やトラムによる移動はほぼゼロにまで減った半面、自転車による移動は4月上旬には2倍以上に増えたことが示された(添付資料図参照)。

以前から、欧州では自転車道の整備は進んでいたが、ローマ、ブリュッセル、ベルリン、バルセロナでは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、自転車道の整備が加速しているとのことだ。スイスでは、2018年9月の国民投票で自転車道整備を連邦政府が計画的に進めることが可決されたことを受け、徐々に進められてきた自転車道整備が、新型コロナ禍の後に加速する可能性がある。

ジュネーブ州で4月30日に、ソフトモビリティ推進策が発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。これは、新型コロナウイルス感染拡大防止の活動制限措置が緩和され、経済活動が復旧したときに起こる混雑緩和や、感染リスク低減の観点から、公道の駐車スペースや車線を減らして60日間の臨時自転車道を設けること、歩行者用信号を点滅信号に変更し、道路横断の待ち時間を減らして横断歩道の混雑を緩和すること、からなる。ただし、環境対策では先進的なジュネーブでも、この措置には賛否両論がある。5月19日、自転車道の整備を支援する2,000人がジュネーブのプランパレ広場に集まった一方で、整備を取り下げる請願もインターネット上で提出された、と報道されている。

(出所)ジュネーブ州政府の発表に基づきジェトロ作成、オープンストリートマップ(CC-BY-SA 3.0)利用

(出所)ジュネーブ州政府の発表に基づきジェトロ作成、オープンストリートマップ(CC-BY-SA 3.0)利用

写真 新たに整備された自転車道(ジェトロ撮影)

新たに整備された自転車道(ジェトロ撮影)

(和田恭)

(スイス)

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