オーストラリア、ニュージーランドが英国とFTA交渉開始を発表

(オーストラリア、ニュージーランド、英国)

アジア大洋州課

2020年06月22日

オーストラリアのサイモン・バーミンガム貿易・観光・投資相と英国のエリザベス・トラス国際通商相は6月17日、2国間の自由貿易協定(FTA)の交渉開始に関する共同声明を発表した。バーミンガム氏は、共同声明の中で「新型コロナウイルス感染症が与えた影響から回復を目指し、農家や企業、消費者に新たな機会を提供する。雇用創出を支援し、経済を強化する取引を追求する」と述べた。オーストラリアにとって、英国は世界で3番目に大きいサービス貿易相手国で、外国投資元としても世界2位になっている。

オーストラリアと英国は、以下の目的を含む、包括的で質の高いFTAの交渉を目指す。

  • 物品貿易の拡大
  • サービス輸出企業の市場アクセスの改善、輸出業者の市場参入時の競争力の確立
  • 2国間の相互投資を促進し、経済成長を促す最新の投資ルールの策定
  • 知的財産権に関するバランスの取れたルールの促進
  • 中小企業と政府調達の機会の促進
  • 貿易と持続可能な開発に関する価値観共有の促進
  • FTAを効果的に実施するための強力な法的・制度的枠組みの確立

また、オーストラリアのモリソン政権は同日に、FTAの透明性を確保するため、専門家の意見を聞く閣僚諮問委員会(MAC)を設立すると発表した。バーミンガム氏は「MACは、貿易に関する専門知識を持つビジネス関係者や業界団体、市民社会の代表などで構成され、幅広い横断的な集まりになっている」として、政府が進めるFTAに関する情報の普及にも役立つと説明している。

ニュージーランドもFTA交渉入り

ニュージーランド政府も、同日に英国との2国間FTAに関する交渉の開始を発表した。同国にとって、英国は6番目に大きい貿易相手国で、2019年の2国間の貿易総額は約60億ニュージーランド・ドル(約4,140億円、NZドル、1NZドル=約69円)となっている。両国が目指すFTAの成果目標は以下のとおり。

  • 両国間の貿易関税の撤廃
  • 非関税障壁に取り組む上での新たな手法の開発
  • 両国間の貿易円滑化(通関手続きの合理化、ルールの適切な運用など)
  • デジタル取引を促進するための新たな考え方の開発
  • 気候変動を含む持続可能な開発を支援する貿易制度の新境地の開拓

(坂本未侑)

(オーストラリア、ニュージーランド、英国)

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