カナダ世論調査、新型コロナウイルス終息後従業員の3分の2が在宅勤務継続を見込む
(カナダ)
トロント発
2020年06月17日
カナダで新型コロナウイルス感染拡大が雇用にも大きな影響を与える中、世論調査機関アンガス・リード研究所は6月11日、カナダ人の働き方の変化や雇用状況に関する調査結果(注)を発表した。
カナダでは各州で発令された必要不可欠なビジネス以外の職場閉鎖命令・勧告などにより、多くの企業が在宅勤務を取り入れざるを得なかったり、必要不可欠な活動に該当するビジネスであっても従業員への感染懸念から自主的に在宅勤務を採用するなどしてきたが、同調査結果によると、新型コロナウイルス感染拡大終息後の働き方について、現在在宅勤務中の人の20%が「在宅勤務を永続的に継続する」と回答した。「在宅勤務とオフィス勤務を併用する」(44%)とあわせると、現在在宅勤務をしている人の約3分の2が今後も在宅勤務を取り入れる見込みだ。一方、「感染拡大前と同じフルタイムでのオフィス勤務に戻る」との回答は36%にとどまった。
自身または同居人が在宅勤務している人に対して、仕事の生産性について聞いたところ、28%が「良い」と回答し、「悪い」(13%)の2倍以上となったが、精神面への影響については「良い」(16%)は「悪い」(15%)とほぼ同程度となった。
現在一時解雇や時短勤務の状況にある人に新型コロナウイルス終息後に元の職場に戻れるか、あるいは元と同じ時間働けるようになるか聞いたところ、「疑わしい」との回答が29%、「完全解雇になる(元の職場には戻れない)」が9%と、3月末の調査時(13%、4%)に比べ、回答割合はそれぞれ倍増した。緊急事態宣言発動直後には、新型コロナウイルスの流行が終息すれば、経済停滞のリバウンドで経済はV字回復するとの予測もあった。しかし現在は、実際の影響の大きさから経済回復にはかなり時間を要するとの予測が大半であり、そうした状況を労働者も感じ取っていることがこの回答結果から読み取れる。実際、今回の調査では、回答者の49%が新型コロナウイルスによりもたらされた失業や経済への悪影響はまだ最悪期には至っていないと回答している。
政府の支援に関しては、一時解雇または時短勤務中の人の約7割が州または連邦政府の支援制度を利用しており、利用者の約8割が支援を「生活維持に必要不可欠」または「大いに役立つ」としている。
(注)6月8~10日にアンガス・リード・フォーラムの会員のカナダの成人1,510人を対象にインターネット調査を実施。
(酒井拓司)
(カナダ)
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