全米経済研究所、過去最長の景気拡大局面が2月に終了と発表

(米国)

ニューヨーク発

2020年06月12日

全米経済研究所(NBER:National Bureau of Economic Research)の景気循環日付認定委員会は6月8日、米国経済は2月に景気拡大局面が終了し、景気後退入りしたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)した。2009年6月に始まった今回の景気拡大局面の長さは、これまで過去最長だった120カ月(1991年3月~2001年3月)を上回り、1854年以降で最も長い128カ月(10年8カ月)となった(添付資料図参照)。

景気後退入りの判断を行うに当たっては、経済活動の大幅な減少が経済全体に渡って数カ月以上続いたかどうかを確認する。具体的には、実質GDP・実質国内総所得(GDI)・雇用者数などについて、落ち込みの深さ・拡がり・期間などを検討する。NBERによると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、雇用者数や実質GDPの約7割を占める実質個人消費支出は明らかに2月にピークを迎えていたと指摘した。

また通常、NBERはこうした落ち込みが数カ月続くのを待った上で、景気後退入りしたことを確定するが、「前例のない規模で雇用や生産が減少し、経済全体に広く影響を及ぼしていることから、今回の落ち込みが(事後的に)過去の落ち込みに比べて短かったことが判明しても、景気後退と判断されるのは当然」と指摘した。

ハーバード大学教授で、景気循環日付認定委員会の委員も務めるジェームズ・ストック氏は「4月中旬以降の経済は改善してきているようだが、今後(実際に)何が起こるかは、政策、特に疫学的政策やウイルス(の感染抑制)の経過に依存するだろう」と述べた。また、ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者ライアン・スイート氏は「技術的には、今回の景気後退は最も深く、最も短いかたちで終了したと記録される可能性がある」ものの、「多くの企業や個人にとって、今後数年間は景気後退のように感じられるだろう」と指摘した(「ブルームバーグ」6月8日)。

(注)米国の景気日付の認定は、民間非営利機関の全米経済研究所(NBER)が行っている。1929年から公表。

(権田直)

(米国)

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