デジタルサービスへの課税法案が下院に提出

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年06月11日

米国通商代表部(USTR)は6月2日、一部の国でデジタルサービス企業への課税が検討さていることについて、米国企業を不公正に扱う懸念があるとして通商法301条に基づく調査開始を発表した。インターネットを介して提供されるデジタルサービスに対する課税の手法や手段について、現在国際的なコンセンサスは存在しないが、2019年7月にフランスが法制化して以降、その動きに追随する国が出てきている。ブラジルもその1つだ。

ブラジルでは5月4日、ジョアン・マイア下院議長によって、ブラジルでデジタルサービスを提供する企業の売り上げに対して課税することを定める法案(法案2358/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が議会に提出された。なお、現時点でのデジタルサービスに対する課税の法制化の動きはブラジル以外にもオーストリア、チェコ、EU、インド、インドネシア、イタリア、スペイン、トルコ、英国で見られている。

法案2358/2020では、ブラジルにおいてデジタルサービスを提供する一定規模以上の企業に対して、そのブラジル国内での売上高に対して課税することを規定している。課税対象となるのは全世界売上高が30億レアル(約660億円、1レアル=約22円)超かつ、ブラジル国内売上高が1億レアル(約22億円)超の企業となっている。

税率はブラジル国内の売上規模に応じて3段階あり累進的な税率設定となっている。

  • ブラジル国内売上高が1億~1億5,000万レアル以下の企業はブラジル国内売上高に対して1%
  • 同1億5,000万レアル超~3億レアル以下の企業はブラジル国内売上高に対して3%
  • 同3億レアル超の企業はブラジル国内売上高に対して5%

また、徴収された税は国家科学技術開発基金(FNDCT)に蓄積され、デジタル分野のイノベーションの振興などのために用いられることとされている。

(岩瀬恵一)

(ブラジル)

ビジネス短信 79377ce71382658d