IMF、モンゴルに新型コロナウイルス対策で約1億ドルの緊急融資

(モンゴル)

北京発

2020年06月26日

IMF理事会は6月3日、モンゴルに対し9,900万ドルの緊急融資を行うと発表した。目的として、モンゴル政府による新型コロナウイルス対策への財政支援と、国際収支悪化による外貨準備高減少への対応、ドナー国によるモンゴル支援の推進を挙げている。

IMFのプレスリリースでは、融資の返済期間や金利などの詳細な条件には触れていないが、財政援助における資金管理の透明性とガバナンスの強化をモンゴル政府に求めるとともに、経済の危機的状況が収束した際は、拡大信用供与措置(注1)に基づいて行ってきた公的債務の削減、外貨準備高の増加、マネーロンダリング・テロ資金対策の改善、銀行の財務体質の改善などの経済改革を再開することが重要だと強調している。

IMFに先立ち、アジア開発銀行(ADB)も5月12日、モンゴル政府による新型コロナウイルス対策を財政面から支援し、社会的弱者や中小企業を保護することを目的に、モンゴルへの1億ドルの融資を行うことを発表している。

モンゴル政府は4月から5月にかけて2度の経済対策を実施しているが、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比マイナス10.7%、貿易額は28.1%減(輸出41.5%減、輸入9.7%減)となり、運輸や観光、小売業、サービス部門などが新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている(注2)。

在モンゴル日本大使館によると、モンゴルの新型コロナウイルスの累計感染者数は6月23日現在、215人(うち治療中57人、回復158人、死者なし)と発表している。感染者は外国からの帰国者で市中感染は起こっておらず、IMFやADBはいずれも政府による水際対策が成果を上げていると評価している。

(注1)2017年からモンゴル政府がIMFと実施していた拡大信用供与措置(EFF)は5月で終了した。

(注2)モンゴルの2020年第1四半期の経済状況については、「モンゴル経済概況(2020年6月)」を参照。

(藤井一範)

(モンゴル)

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