デジタル経済の促進へ、EC売上高25%成長を目指す

(ベトナム)

ハノイ発

2020年06月04日

ベトナム政府は電子商取引(EC)の促進を目的に、5月15日付の首相決定645号(645/QĐ-TTg)で、2021~2025年の電子商取引(EC)の発展計画を承認した。ECはデジタル経済の先駆的な分野の1つとみなされ、経済成長を加速させる要因として期待されている。

同計画では、2025年までのEC市場規模目標として、ベトナムの人口の55%が ECを利用し、1人当たりの年間利用額を600ドルにすると定めた。また、消費者向けの取引(B to C)の売上高は年平均25%増で、2025年には350億ドルに達することを目指し、小売り・サービス売上高のち10%を占めるようにする。

EC取引のキャッシュレス決済については、利用率を50%まで高め、そのうち決済代行サービス会社利用の割合を80%にする。ECの全国的な普及も念頭に置いており、EC取引はハノイとホーチミンの2大都市以外の省・市で半分を占めるようにする。そのほか、電気、水道、通信の提供会社の70%が、電子契約を展開することを目指す。

コロナ禍でECの売れ筋に変化

東南アジアのEC情報を調査するアイプライス(iPrice)によると、ベトナムにおける2020年1~3月の主要ECサイトの月平均来訪件数は、ショッピー(Shoppe)が4,315万件(前期比13.6%増)と盛況だった一方、ティキ(Tiki)は2,399万件(2.1%減)、ラザダベトナム(Lazada VN)は1,976万件(26.9%減)、センドー(Sendo)は1,760万件(35.3%減)と落ち込んだ。ベトナムでは新型コロナウイルスの影響により、グラブなどのアプリを介した買い物代行・宅配サービスの需要は高まったが、アイプライスの分析によると、ヘルスケア用品や食品に人気が集中したため、当時それらの取り扱いが限られたECサイトは需要を取り込めなかったという。そのほか外出自粛を背景に、ECサイトではトレーニング用品、コンピュータ機器、ビタミン剤なども売り上げを伸ばしたが、衣類などは売り上げを落としたと指摘している。

新型コロナウイルスの影響を受け、ECで求められる商品群には変化がみられたが、これまでECに興味がなかった消費者を取り込む機会となった。コロナ禍を契機とした需要品目の多様化や利用者増によるEC市場の拡大が今後期待される

(庄浩充)

(ベトナム)

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