2019年度第4四半期の成長率、前年同期比3.1%に急減速

(インド)

ニューデリー発

2020年06月08日

インド統計・計画実施省(MOSPI)は5月29日、2019年度第4四半期(2020年1月~3月)の実質GDP成長率(2011年基準)推計値を前年同期比3.1%、同年度(2019年4⽉〜2020年3⽉)の実質GDP成⻑率(2011年基準)暫定推計値を4.2%と発表した(添付資料表1参照)。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各項目で成長が落ち込んだ。

2019年度第4四半期成長率を需要項目別にみると、政府最終消費支出は前年同期比13.6%と伸長したが、その他の項目は軒並み成長が鈍化した。GDPの過半を占める民間最終消費支出が2.7%と低迷したほか、企業の設備投資などを表す総固定資本形成は6.5%減、輸出は新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界景気の悪化などにより8.5%減と大きく落ち込み、GDP成長率を押し下げた。

産業部門別の粗付加価値(GVA)成長率をみると、農林水産が前年同期比5.9%と改善したが、新型コロナウイルスによる影響で販売減や操業停止を余儀なくされた製造や建設は、前年同期比1.4%減、2.2%減と、それぞれ大きく失速した(添付資料表2参照)。

2019年度のGDP成長率は11年ぶりの低水準

2019年度GDP成長率の暫定推計値は4.2%と、2次推計値の5.0%(2月28日発表)から大幅に下方修正された。これは11年ぶりの低水準で、インド経済の減速が鮮明となった。なお、2019年度の第1四半期(4~6月)の実質GDP成⻑率が5.6%から5.2%に、第2四半期(7~9⽉)が5.1%から4.4%に、第3四半期(10~12⽉)が4.7%から4.1%にそれぞれ下方修正された。

2019年度GDP成長率を需要項目別にみると、民間最終消費支出は前年度比5.3%、総固定資本形成は2.8%減、輸出は3.6%減など、主要項目のほとんどで成長が大きく鈍化した(添付資料表3参照)。

産業部門別の粗付加価値(GVA)成⻑率をみると、農林⽔産は前年度比4.0%、鉱業・採掘は3.1%伸長したものの、製造は0.03%、建設は1.3%に減速した(添付資料表4参照)。

政府は景気刺激策や経済活動の制限緩和に踏み切っているが、新型コロナの影響が大きい2020年度第1四半期(2020年4月~6月)はさらなる落ち込みが予想される。地場格付け会社ICRAのアディティ・ナヤル首席エコノミストは、第1四半期は25%のマイナス成長となり、景気後退が進むとの見方を示した(「ビジネス・スタンダード」紙5月30日)。

(宇都宮秀夫)

(インド)

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