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豪NZ FTA交渉とCPTPP加盟に向けた方針発表、当面のFTA戦略が出そろう

(英国、オーストラリア、ニュージーランド)

ロンドン発

2020年06月25日

英国政府は6月17日、オーストラリア、ニュージーランドとの自由貿易協定(FTA)の交渉方針(対豪外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます対NZ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。同日には、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加盟に向けた政府見解外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも表明。EU離脱後に示したEU以外とのFTAの基本方針(2020年2月7日記事参照)が出そろった(添付資料表参照)。

オーストラリア、ニュージーランドとのFTAでは、対日FTA交渉でも掲げた(2020年6月10日記事参照)デジタル貿易などを重点分野に掲げ、自由なデータ移転の実現などを目指す。また、日米それぞれとのFTA同様、中小企業の輸出や相互協力の促進につながる取り決めなども追求する。一方、オーストラリアとはイノベーションや研究開発での協力の枠組みを目指すこととし、ニュージーランドとは、両国ともに掲げる2050年までの温室効果ガス純排出ゼロの目標を踏まえた協力を重視し、関連規制や研究開発に関する規定を盛り込む。

物品貿易に関する交渉は、難航する可能性もある。2018年比での政府の試算では、全品目で関税を撤廃し、非関税障壁を5割削減した場合、英国からの輸出は対オーストラリア、対ニュージーランドともに7.3%増加するのに対し、両国からの輸入はそれぞれ83.2%、40.3%と急増する。両国産の羊肉や牛肉が競争力を増すためで、英国は国内畜産業の保護のため、関税の維持を目指す。オーストラリアとの初回交渉は6月29日、ニュージーランドとは7月13日に、オンライン会議で行われる予定だ。

英国の両国との貿易額は高くなく、経済効果はわずかと見積もられているが、英国政府は両国や日本とのFTAをCPTPP加盟の足掛かりにしたい考えだ。2018年7月以降、政府はCPTPP加盟11カ国と非公式に会談を重ね、英国の加盟について全加盟国から賛意を得ているという。今後はこれら個別協議の進展や英国の利益に照らした影響評価などを進め、加盟を申請するか最終的に判断する。政府は17日の見解の中で、CPTPP加盟が「FTAのネットワークの中心に英国を据えることになり、世界の高成長地域へのゲートウエーとして英国が訴求力を増すことで、対内投資の拡大につながる」との将来像を描いており、協定そのものからの経済的利益を超える効果に期待している。

ただ、英国の取り組みには懸念も残る。EUと約40カ国・経済圏との間で発効しているFTAの継承は、20カ国・経済圏との間でしか署名に至っておらず、カナダ、メキシコ、シンガポールなどCPTPP加盟国を含む16カ国・経済圏とはまだ協議中だ。EU離脱後の移行期間中に合意・批准できなければ、同期間終了後の2021年1月からこうした国々とEUとのFTAによる特恵関税で無税の適用を受けている企業は関税が発生することになる。

(宮崎拓)

(英国、オーストラリア、ニュージーランド)

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