外貨準備高3カ月連続で減少、新型コロナウイルス対策でIMFが50億ドル追加融資へ

(エジプト)

カイロ発

2020年06月10日

エジプト中央銀行の6月7日の発表によると、2月末に455億ドルだった外貨準備高は5月末に360億ドルとなり、3カ月連続で減少した。直接投資の流出や株式投資の減少に加え、国債返済などの外貨支出で減少したが、輸入8カ月分の水準は維持している。ただし失業率をみると、中央動員統計局(CAPMAS)の5月14日の発表では、2020年第1四半期の失業率は7.7%だったところ、4月は9.2%に上昇しており、新型コロナウイルスの影響により今後さらに悪化する見通しとなっている。

為替ではエジプト・ポンド安が続いており、6月8日時点の1ドルの売値は16.24エジプト・ポンドで、2019年10月以来の安値となった。現地報道による地元エコノミストの分析では、新型コロナウイルスの影響による危機などの要因でエジプト・ポンドが売られている中、中銀が介入していたが、介入を緩め始めたのではないかとしている。

エジプトにおいて、6月7日時点の新型コロナウイルス感染者数は3万4,000人に達し南アフリカ共和国に次ぐアフリカで2番目の多さとなった。公表されている死亡者数は1,237人とアフリカで最も多い。国内の経済活動は段階的に再開を進めているが、首相令によると国際線の運航は追って通達があるまで停止されている。とはいえ、内閣報道官によると6月後半か7月前半に国際線再開を検討しているという。なお、航空便については各国の要請による臨時便が不定期に運航しているほか、貨物便や国内便は運航している。国際線の原則停止により海外からの観光客はしばらく見込めないが、国内旅行者向けのホテルなどは段階的に再開を始めた。

政府は国際機関の支援も受け、新型コロナウイルスの感染拡大対策および経済対策を進めている。5月に決定したIMFからの27億ドルの緊急支援(2020年5月18日記事参照)、世界銀行からの5,000万ドルの金融支援(ファストトラック・ファシリティ)に加え、政府はIMFからさらに約52億ドルの融資を要請し、実務者レベルでの合意に達したとする。現地報道によると、大型融資の合意を受けてエジプト株式市場は活況を呈し、EGX30指数は約4.5%上昇した。

(井澤壌士)

(エジプト)

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