ベトナム国会、EU・ベトナムFTAの批准議決案を可決
(ベトナム)
アジア大洋州課
2020年06月09日
ベトナム国会は6月8日、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)の批准議決案を満場一致で可決した(注)。協定の規定によると、EVFTAは、EUとベトナムがそれぞれの手続きが完了したことを相互に通知した後、翌々月の1日に発効する(ただし、両者は異なる日にちを合意することも可能)。ベトナム商工省によると、EUは2020年4月にベトナムに通知済みで、今後、ベトナムからEUに通知が行われることになる。また、発効時期については、8日夕刻に行われた商工省のチャン・アイン・トゥアン大臣と欧州委員会のフィル・ホーガン委員との電話会談で、EUから8月1日に発効させることの提案があったもようだ。
EVFTAの利用にはベトナム国内法の整備に留意が必要
ベトナム政府によると、EVFTAの発効後5年間でベトナムのGDPは2.18~3.25%増加し、EU向け輸出は2025年には42.7%増加することが見込まれる。
EVFTAによる優遇関税の適用を受けるには、貨物が原産地基準を満たしていることを証明しなければならないが、EVFTAでは原産地の自己証明制度が導入される。商工省によると、EUからベトナムに輸入される貨物には、EUの登録輸出者システム(REX)に登録されている輸出者による自己証明が導入されるが、総額6,000ユーロを超えない貨物の場合は、REXへの登録がない輸出者であっても自己証明が可能となる予定だ。
他方、ベトナムからEUに輸出される貨物には、当局によって原産地証明書が発給されるが、協定では(1)総額6,000ユーロを超えない範囲でベトナムの国内法令が定める金額の貨物を輸出する者による自己証明、さらには、(2)EUへの通知を行うことによって国内法令に基づく認定輸出者または登録輸出者による自己証明が認められている。これらの協定の規定を実施するため、商工省は現在、原産地規則に関する通達の策定を急いでいる。環太平洋パートナーシップに関する包括的かつ先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)では、原産地規則や関税率に関する国内法令の整備が遅れ、実務現場で混乱が生じた。EVFTAにおいても、国内法令の整備の動向には注視が必要だ。
(注)同じ日に、EU・ベトナム投資保護協定(EVIPA)の批准議決案も可決された。
(北嶋誠士)
(ベトナム)
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