新型コロナウイルスによる休業を乗り越え、日本料理店「カフェMomo」再出発

(カザフスタン)

タシケント発

2020年06月09日

カザフスタンの首都ヌルスルタン市で5月11日、新型コロナウイルス感染症による非常事態宣言が解除された。2カ月に及ぶ経済活動の停滞は、特に飲食業界に深刻な影響を与えたといわれる。同市で、日本料理店「カフェMomo(モモ)」を営む岸上大輔社長にインタビューした(6月4日)。

(問)非常事態宣言発出後の経営方針について。宅配サービスによる営業継続は想定しなかったのか。

(答)カザフスタンも欧州と同様、感染が一気に拡大するのでは、という危機感があった。弊社従業員も、バス通勤が怖いと訴えた。営業継続で私自身が感染し、家族に移すリスクもあったため、中途半端にビジネスを続けるより、一時的に店を閉めたほうがよいと判断した。

(問)営業休止の間、店舗の維持費、従業員への給与などはどうしたか。

(答)店舗スペースは、高級マンションの開発・運営を手掛ける韓国企業ハイビルから借りている。今回は特殊な事情ということで、休業期間中は賃料を免除してもらった。また、従業員に対しては、カザフスタン政府からの支給金4万2,500テンゲ(約1万1,500円、1テンゲ=約0.27円)を会社から申請した。アパートの家賃が払えず困っている従業員もいたので、弊社独自の見舞金や給料の前払いというかたちで支援した。

(問)営業を再開して1カ月ほどたつが、今の経営状況は。

(答)非常事態宣言前と比べ、全体的な売り上げが3~4割減少している。テイクアウト、デリバリーは3割ほど増えたが、店内での飲食は大きく減少しており、特にランチタイムに来店していたビジネスパーソンの減少が目立つ。非常事態期間中に現地通貨テンゲのレートが10%下落したため、仕入業者からの値上げ通告が相次ぎ、収益面で非常に厳しい状況。ただ、ウナギやみそなどの食材は、今のところ同じものが手に入る。収益減は、従業員の労働時間を減らすことなどで対応している。

(問)防疫条件に不備があり、営業を取り消された飲食業者もあると聞いている。注意点は。

(答)従業員に、マスクと手袋の着用を義務付けている。出入り口にはアルコール消毒液を置き、1時間に1回、ドアノブやテーブルなどを消毒している。

写真 「カフェMomo」看板(ジェトロ撮影)

「カフェMomo」看板(ジェトロ撮影)

写真 防疫のためマスク、手袋着用(ジェトロ撮影)

防疫のためマスク、手袋着用(ジェトロ撮影)

(問)今後の事業計画や展望をどのように予想しているか。

(答)非常事態中、幼い子供の遊び相手をしながら、新メニューの開発や試作をしていた。6月中には人気のすしメニューに追加したい。夏に向け、要望が多い牛丼などの牛肉料理やフラッペなども出していきたい。「カフェMomo」は、カザフスタンの皆様が日本食と日本の雰囲気を気楽に味わってもらえるように開いた。このコンセプトを守り、できることをコツコツと積み上げていきたい。2021年にはラーメンにも挑戦したい。将来的には、アルマトイにも2号店をオープンさせ、一般市民にもっと日本食を知ってもらえたらと考えている。

写真 「カフェMomo」岸上大輔社長(ジェトロ撮影)

「カフェMomo」岸上大輔社長(ジェトロ撮影)

写真 「カフェMomo」店内(ジェトロ撮影)

「カフェMomo」店内(ジェトロ撮影)

(増島繁延)

(カザフスタン)

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