広東・香港・マカオグレーターベイエリアの金融施策について、日中間で座談会開催

(中国)

広州発

2020年06月26日

ジェトロと在広州日本総領事館、広州日本商工会は6月17日、広東省の政府機関などと「広東・香港・マカオグレーターベイエリア(以下、ベイエリア)の金融施策に関する座談会」を開催した。

今回の座談会は、5月14日に「広東・香港・マカオグレーターベイエリア建設への金融サポートに関する意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2020年6月18日記事参照、以下「意見」)が発表され、日系企業から高い関心が寄せられていることを受けて実施された。

広東省側は広東省商務庁、および中国人民銀行広州分行、広東銀保監局、広東省証監局の9人が出席し、ベイエリアの金融施策を紹介した上で、日本側が提出した質問や要望に回答した。

写真 座談会の様子(ジェトロ撮影)

座談会の様子(ジェトロ撮影)

石塚英樹・在広州日本総領事は座談会の冒頭で、金融は世界の経済・貿易の血液であるため、広東省が目指す世界一流のベイエリア構築に向けては、金融という血液がベイエリアに流れ、日本とつながり、さらには国際金融市場とつながることが必要だと発言した。

日本側からは、質問・要望事項として、以下の6項目が提言された。

  1. 「意見」に関する実施細則の公布時期と具体的な運用方針(質問)
  2. 広東省に所在する外資系銀行に対する業務・組織面での期待内容(質問)
  3. 広東自由貿易試験区内での国際商業銀行の設立検討に関する進捗状況(質問)
  4. 日系金融機関が地場系顧客を開拓するための政府からの支援策(要望)
  5. 海外投資家の参入促進に向けた証券業の開放やライセンス取得条件の緩和(要望)
  6. グリーンファイナンスに関する日系金融機関との協業・提携(要望)

日本側の6項目について、広東省政府から以下のとおり回答があった。

  1. 現在、実施細則の策定に取り込んでおり、近日中に公布時期を発表する。
  2. 日系金融機関には、日系顧客以外の地場系顧客の新規開拓や、中国企業の海外進出のサポートを期待する。
  3. 「意見」発表以降、国際商業銀行の設立に向けた具体的な作業を加速させている。
  4. 地場系顧客の開拓に向けた支援策としては、中小企業への金融支援を強化するため「広東省の中小企業金融を支援するいくつかの政策措置PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。商工会議所、業界団体、中小企業支援プラットフォームを利用し、企業間のマッチング・イベントに積極的に参加することを薦める。
  5. 海外投資家へ規制緩和については、「意見」でプライベート・エクイティ・ファンド〔注〕のクロスボーダー展開の試行や、香港、マカオのプライベートファンドがベイエリアのスタートアップ企業への融資を支援することを明確化した。
  6. グリーンファイナンスに関する協業・提携については、日系金融機関がグリーン金融基準や商品開発などに関する経験や強みを生かして、グリーン金融基準などの研究に協力することを期待する。

〔注〕未公開株式(プライベート・エクイティ)の運用を行うファンド。

(盧真)

(中国)

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