カナダの5月の失業率、13.7%で過去最高を記録

(カナダ)

トロント発

2020年06月12日

カナダ統計局が6月5日に発表した5月の労働力調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、雇用者数は前月比28万9,600人(1.8%)増加し、1,647万4,500人だった。前月比減となった3月、4月から増加に転じたが、失業者数は前月比20万900人(8.3%)増加し、失業率は0.7ポイント上昇して13.7%となり、1982年12月に記録した過去最高(13.1%)を更新した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う一時解雇が増加し、カナダの失業者の総数は2月から4月にかけて2倍以上に増えた。カナダ統計局は、一時的に失職した後、元の職場に戻ることを想定して求職活動をしていない人(失業者の定義を満たさない人)を求職者に加えた場合、5月の失業率は19.6%になると推測している。

雇用者数の前月比での変化を業種別でみると、生産部門では、建設〔7万3,700人(6.3%)増〕、製造業〔7万9,100人(5.5%)増〕、林業、水産業、鉱業、採石、石油・ガス〔1万4,100人(4.9%)増〕などで、ビジネス再開に伴って雇用が増えた。サービス部門では、宿泊・外食〔4万1.900人(6.8%)増〕、卸・小売り〔10万7.000人(4.7%)増〕、金融・保険・不動産・レンタル・リース〔1万5,900人(1.3%)増〕などが増加した。宿泊・外食、卸・小売りは3、4月に雇用が大幅に減少したが、5月に入って増加に転じた。一方、ビジネス・建物・その他支援サービス〔3万100人(4.5%)減〕、運輸・倉庫〔2万4,500人(2.8%)減〕などは減少した。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の制限が緩和され、経済活動を再開するに当たって、雇用主は(1)従業員の労働時間を増やす、(2)一時解雇した従業員を呼び戻す、(3)従業員を新規雇用するという対応を組み合わせていくことになる。5月の総労働時間を業種別にみると、建設(前月比19.0%増)、その他サービス(同13.2%増)、卸・小売り(11.0%増)、製造業(10.9%増)など、ほとんどの業種で増加し、総労働時間の伸びが雇用者数の伸びを上回った。他方、2月から4月に他のどの産業よりも雇用が大きく減少した宿泊・外食は、5月の総労働時間の増加率(2.4%)が雇用者数の増加率(6.8%)を下回り、カナダ統計局は、宿泊・外食では一時解雇した従業員の再雇用や従業員の新規雇用が経済再開への初期対応として主に取られていると分析している。

今回の労働力調査結果の発表を受け、カナダ商工会議所のトレビン・ストラットン副会頭兼チーフエコノミストは6月5日、「今回の調査結果は、過去最高の失業率を記録したという点ではひどいものではあるが、雇用者数が増加に転じたという明るい部分もあった。個人と企業が現在の経済的混乱を乗り越えられるように引き続き支援する必要があるが、経済再開に伴い労働者が仕事に戻れるよう、全国規模の景気刺激策への移行を計画する必要がある」との声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(酒井拓司)

(カナダ)

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