世界銀行の2020年の世界経済見通しは「戦後最悪」に

(世界)

国際経済課

2020年06月09日

世界銀行は6月8日発表の「世界経済見通し(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」で、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のパンデミック(世界的な流行)を受け、2020年の世界経済の成長率(実質GDP伸び率)見通しをマイナス5.2%とした(添付資料表参照)。1月の見通し(プラス2.5%)から大幅に下方修正した。世界の1人当たりGDP伸び率については、2020年はマイナス6.2%と試算され、1945年(マイナス10.5%)以降で最大の落ち込みとなる。

2020年の実質GDP伸び率を経済規模別にみると、先進国(マイナス7.0%)および新興・途上国(マイナス2.5%)はともにマイナスの見通し。2020年の1人当たりGDP伸び率がマイナスとなる国・地域の割合は、大恐慌のさなかにあった1931年(83.8%)の水準を上回る92.9%で、分析対象とした1870年以降で初めて90%を超えた。

上記の基準予測(ベースライン予測)は、(1)先進国で2020年前半までに都市封鎖(ロックダウン)が解除できるまでにパンデミックが収束、(2)新興・途上国における新型コロナ発生と対策のピークは先進国より後ろにずれ込む、(3)2020年後半からの回復の勢いは乏しいこと、などが前提となっている。この場合、世界の2021年の成長率はプラス4.2%に回復する。

しかし、見通しに関する不確実性は非常に高く、圧倒的な下振れリスクがあると指摘。多くの国で2020年第3四半期まで新型コロナ対策(ロックダウンや学校と事業の閉鎖など)を維持する必要がある、といった下振れシナリオの場合、世界の2020年の経済成長率はマイナス7.8%にまで落ち込み、2021年の成長率はプラス1.3%にとどまる、としている。

他方で、ベースラインと同様に、2020年第2四半期までにパンデミック対策が大幅に解除され、主要国経済が第3四半期に活気を取り戻すという上振れシナリオの場合、2020年の世界の経済成長率はマイナス3.7%と試算する。しかしこの場合でも、世界金融危機時の2009年の成長率(マイナス1.8%)よりも、マイナス幅が大きくなる見通しになっている。

(朝倉啓介)

(世界)

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