2020年の大巡礼は人数を絞り、国内からの参加のみに

(サウジアラビア)

リヤド発

2020年06月24日

サウジアラビア巡礼省は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、2020年のハッジ(大巡礼)は参加人数を最小限に絞り、サウジアラビア国内からの参加者のみで行うことを発表した〔6月22日付サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

ハッジはイスラム教徒の五行の1つとして、毎年イスラム暦の12月初旬に行われ、イスラム暦1441年に当たる2020年は7月28日~8月2日に予定されている。近年では世界中から200万人を超える巡礼者がサウジ西海岸の2大聖地(マッカ、マディーナ)に集まるが、巡礼用ビザを取得することは必ずしも容易ではなく、多額の費用も掛かるため、生涯一度の出来事として順番を待ち続ける海外のイスラム教徒も多い。

2大聖地を抱えるサウジアラビアとしては、巡礼者の健康と安全を最優先に考慮した上での苦渋の決断となったが、国内の宗教界をはじめ、ムスリム世界連盟やイスラム協力機構は即座にその決定を支持するコメントを発表している(6月23日付SPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。SPAは、ファイサル外相がマレーシア、バングラデシュ、パキスタン、インドといったイスラム教徒を多く抱える国々と速やかに連絡を取ったことも報じた(6月22日付SPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

聖地巡礼は宗教行事として重要な意味を持つ一方で、インフラ整備とともに近年は観光などのビジネスともその関連を強めている。新型コロナウイルス感染の世界的拡大がサウジ経済にもたらす負の影響は、今後、さまざまな面からあらためて確認されていくことになるだろう。

(庄秀輝)

(サウジアラビア)

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