ブエノスアイレス首都圏、感染拡大で7月17日まで隔離措置を厳格化

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年06月29日

アルベルト・フェルナンデス大統領は6月26日、オラシオ・ロドリゲス・ラレッタ・ブエノスアイレス市長およびアクセル・キシロフ・ブエノスアイレス州知事とともに、事前に録画されたメッセージを通じて、ブエノスアイレス市およびブエノスアイレス州周辺40都市から構成されるブエノスアイレス首都圏(AMBA)において、7月1日から17日までの間、強制的隔離措置を再び厳格化する方針を発表した。

アルゼンチンでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3月20日付で全国に外出禁止令(2020年3月24日記事参照)を発令した。その後、徐々に活動再開など緩和措置が取り入れられ、さらに感染拡大が鈍化してきたAMBAを除く地域ではソーシャルディスタンス(社会的距離)を保って人の移動や活動が再開された(2020年6月8日記事参照)。

しかし、AMBAでは、「ここ20日間で感染者数は147%、死亡者は95%増加した」と、フェルナンデス大統領が説明した。保健省によれば、6月28日午前時点の全国の感染者数は、5万7,744人(うち死亡者1,217人)で、そのうちブエノスアイレス市およびブエノスアイレス州の感染者数は合わせて5万2,323人で、感染者数全体の90%以上を占める。また、6月25日時点で、AMBAの医療施設における集中治療室(ICU)のベッド使用率は54.1%に達したと公表された。今後も感染拡大傾向が続けば、ベッド数が不足する可能性が強く懸念されるため、今回の隔離措置が決定された。主に、以下の措置が取られる。

  • 6月29日から、公共交通機関を利用できるのは、3月20日付の必要緊急大統領令(DNU)297/2020号第6条に含まれる、必要不可欠24業種の従事者に限る。
  • 上記24の業種とは、1.衛生・医療・治安・軍関係者、2.政府高官・連邦・州・地方公務員、3.司法関係者、4.外交団関係者、5.障害者および高齢者などの介護を行う者、6.不可抗力事態に対応する者、7.火葬・葬儀など関連業者、8.コミュニティ食堂の運営関係者、9.報道・ラジオ・メディア関連サービス従事者、10.公共事業関係者、11.卸・スーパーマーケット・徒歩圏内の日用品小売店・薬局・金物・工具屋・ペットショップ・プロパンガス供給業者、12.食品産業・医療・医薬品産業・日用品産業、13.農牧水産業、14.インターネット・通信・デジタルサービス産業、15.先延ばしが不可の貿易取引関係、16.ごみ・廃棄物収集サービス、17.基礎公共サービス(水道、電気、ガス、通信など)および救急対応、18.公共交通機関・貨物・石油・燃料・LPG、19.食品・医薬品・必需品のデリバリーサービス、20.クリーニングサービス、21.郵便サービス、22.清掃・警備サービス、23.石油関連産業、24.ATMサービス・支払い関連システムに必要と中央銀行が定める施設(銀行含む)。
  • 7月1日からは、必要不可欠な業種に従事する者以外の者は、近隣での買い物目的の外出のみが可能で、人の移動は厳しく管理される。
  • ブエノスアイレス州内の一部工業団地、生産工程を停止できない工場、輸出に向けられる商品の生産工場などは、継続して活動が許可される。
  • 連邦政府、ブエノスアイレス市、ブエノスアイレス州の公務員は、できる限り在宅勤務とする。
  • ブエノスアイレス市内でのレストランのデリバリーサービス、子供の週末の散歩は制限しない。ランニング、サイクリング、ローラースケートなど運動のための外出は不可とする。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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