新型コロナ感染症に関する公式統計の一時公開中断で代替サイトに関心集まる
(ブラジル)
サンパウロ発
2020年06月12日
ブラジル保健省は6月6日、新型コロナウイルス感染症に関する統計サイトで、感染者数および死亡者数の累計の公表を中断した。これを受けてジョンズ・ホプキンス大学の世界感染統計
から、ブラジルのデータが6月6日に一時的に削除される事態となった。
これを受け、最高裁(STF)のルイス・モラエス判事は保健省に対し、公衆衛生の観点から新型コロナウイルス感染症に関するデータの再公開を求め、保健省は9日からそれに応じている。現在保健省では、過去24時間の新規感染者数と新規死亡者数、回復者数のみ公開している。
この度の公開中断は、感染の実態を隠しているとしてジャイール・ボルソナーロ政権に対する政治批判に発展した。国内の各マスメディアは8日、独自に各州における新型コロナウイルス感染症に関するデータを収集すると発表した。また、6月9日付現地「テック・トゥド」紙は、以下の、ブラジルにおける新型コロナウイルス感染症に関する統計を紹介した。これら代替サイトにブラジル国民の関心が集まっている。
(1)CONASS
保健省による累計統計の公開中断を受けて、全国保健局審議会(CONASS)が6月8日から各州政府保健局のデータを集計および公表を開始したもの。日本時間午前6時にデータが更新される。全国の州別感染状況を示したマップのほか、ブラジル全土および州別の感染者と死亡者の累計、致死率が把握できる。データのダウンロードも可能。
保健省所管の国立研究所であるオズバルド・クルズ財団(FIOCRUZ)による統計サイト。同サイトは、ブラジル全土と各州の感染者数と死亡者数の累計、1日当たりの感染者数と死亡者数が把握でき、全土と各州の比較グラフ作成が可能なほか、累積数が倍増するまでの日数をグラフで比較するなど多彩な機能がある。
(3)Brasil.IO
ブラジル国内の感染状況に関する情報普及を目的に40人のボランティアが作成するサイト。州および市ごとに感染者と死亡者の累計、致死率、10万人当たりの感染者数と死亡者数の累計を表とマップで表示できる。
(大久保敦)
(ブラジル)
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