ロックダウン緩和ロードマップを改定、6月29日から一段の緩和へ

(アイルランド)

ロンドン発

アイルランド政府は6月19日、新型コロナウイルス感染拡大防止のために発令した各種規制を段階的に緩和するロードマップ(2020年5月8日記事参照)を改定した。政府はこれに先立つ6月5日に、当初5段階を予定していた緩和を4段階に短縮することを公表。6月8日には第2段階の緩和が始まっており、引き続き国内での感染抑制が認められた場合、第3段階は6月29日、第4段階は7月20日から開始される。第3段階から可能になる主な活動は以下のとおり。

  • 自宅からの距離を問わない、国内における外出。
  • 第2段階で再開していない全ての小売業、美容室やマッサージ店などパーソナルケア業界の店舗営業。
  • ホテルなど宿泊施設の営業。
  • 飲食店やカフェの店内営業と、パブやホテル内バーのレストランとしての営業。
  • 屋内では最大50人まで、野外では最大200人の集会(衛生指導に従うことが条件)。
  • 美術館、博物館、劇場、コンサートホール、映画館、レジャー施設、礼拝施設の営業。
  • スポーツリーグの開催と観戦、屋内運動施設やジム、公営プール等の営業。

第4段階では、パブやバーの営業が許可されるほか、大規模集会の許容人数の上限が屋内で100人、屋外で500人まで拡大される予定だ。一方、第3段階でも継続される不要不急の国外渡航や、入国者への14日間の自主隔離などは、第4段階に移行した後も継続される可能性がある。

第3段階の緩和措置の発表を受け、アイルランドの金融大手デイヴィは、経済の落ち込みが当初の懸念より縮小することにつながると評価(「アイリッシュタイムズ」6月22日)。他方、OECDは、このまま新型コロナウイルスの感染が収束に向かえば、2020年の同国の実質GDP成長率はマイナス6.8%となるが、感染の第2波が発生した場合、2020年はマイナス8.7%まで落ち込むと予測している。ロードマップの前倒しにかじを切ったアイルランドは、感染の推移を注視しつつ、経済の再開を急ぐ。

(杉田舞希、尾関康之)

(アイルランド)

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