東北3省、第1四半期の成長率が前年同期比で下回るも、各省政府は経済復調の見方

(中国)

大連発

2020年05月26日

中国東北3省の遼寧省、吉林省、黒龍江省の2020年第1四半期(1~3月)の域内総生産(GRP)は、遼寧省が前年同期比7.7%減の5,082億1,000万元(約7兆6,231億5,000万円、1元=約15円)、吉林省が6.6%減の2,441億8,000万元、黒龍江省が8.3%減の2,409億元となった(添付資料表参照)。

新型コロナウイルス拡大による経済への影響を受けて、遼寧、黒龍江の両省は中国全体(6.8%減)を下回る成長率となった。遼寧省と黒龍江省は成長率の伸びが前年同期(遼寧省6.1%増、黒龍江省4.5%増)より、それぞれ13.8ポイント、12.8ポイント縮小し、吉林省は前年同期(2.4%増)より9.0ポイントを縮小した。

主な指標では、吉林省と黒龍江省の固定資産投資総額の成長率(8.2%減、10.9%減)、吉林省の不動産開発投資(1.5%増)と都市部住民1人当たりの平均可処分所得額の成長率(1.3%増)などが全国平均を上回る伸び率となった。

また、一定規模以上の企業(注)による工業付加価値額を産業別にみると、遼寧省の重点産業では、石油化学工業が12.9%増となったものの、設備製造業は27%減、冶金産業が6.3%減となった。吉林省では、建材産業(21.0%減)や自動車製造業(18.0%減)、情報産業(17.8%減)、紡織工業(14.0%減)の各重点産業いずれもマイナス成長となった。黒龍江省では、採掘業と製造業がそれぞれ5.0%減、16.0%減となった。

貿易額をみると、東北3省とも輸出が減少し、輸入が増加した。遼寧省では、原油(91.7%増)の輸入が急増した。黒龍江省では、国有企業(7.5%増)と外資企業(19.8%増)による輸入額が輸入額全体の7割以上を占めている。

第1四半期の経済動向について、東北3省の各政府は「徐々に回復している」(遼寧省)、「経済の落ち込みは想定の範囲内であり、回復の兆しがみられる」(吉林省)、「3月より回復に転じ、好転に向かっている」(黒龍江省)と分析している。

(注)その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の工業企業。

(李穎)

(中国)

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