カタール国営石油、コートジボワールの油田権益取得

(コートジボワール、カタール)

アビジャン発

2020年05月25日

カタールの国営石油会社カタール・ペトロリアム(QP)は5月18日、フランス・トタルからコートジボワールの海底油田2鉱区の権益45%を取得することで合意したと発表した。QPがコートジボワール事業に参画するのは初めてとなる(カタール・ペトロリアム・ニュースリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

QPはアフリカの石油・ガス上流分野における保有資産価値の拡大を目指しており、今回の資源権益取得もその一環となる。同社は、今後も発展が見込まれるアフリカを国際成長戦略上の主要なターゲットとしており、プレゼンスを強化するとともに、資源権益の獲得を進めていく方針だ。

カタールのエネルギー担当国務相であるQPのサード・アルカービ最高経営責任者(CEO)は、「長期にわたりパートナー関係を構築してきたトタルは、実績が豊富でコートジボワールとの歴史的なつながりが深い。コートジボワールで同社と一緒に有望な油田開発に携わる機会を得たことに期待が大きい」とコメントした。

QPが権益を取得したタノ盆地にあるCI-705およびCI-706鉱区は、沖合35メートル、水深1,000~2,000メートルに位置する海底油田で、面積は3,200平方キロメートルにおよぶ。2019年5月にトタルが90%の鉱区権益を取得。残り10%の権益は国に帰属する。トタルは初期探査段階で9,000万ドルの投資を約束しており、権益の45%を譲渡する新たなパートナーのQPとの間で、開発資金を均等に折半するとみられる。なお、両社間の権益譲渡については、コートジボワール当局の承認待ちとなる。

これら鉱区は、国内初の商業生産となったカナダのCNRインターナショナルが権益を持つエスポワール油田とバオバブ油田に隣接しており、ポテンシャルが高いと見られている。コートジボワール政府は、油価の低迷と新型コロナウイルス感染の経済への影響が懸念される中、QPの進出は、コートジボワールが注力する投資環境の改善と石油開発のポテンシャルが評価されたものだと歓迎している(2020年5月19日、政府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(渡辺久美子)

(コートジボワール、カタール)

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