欧州委、農業生産者らに対する新型コロナウイルス対策支援措置を拡大

(EU)

ブリュッセル発

2020年05月07日

欧州委員会は5月4日、外食産業の閉鎖など前例のない新型コロナウイルス感染症の影響により、大きな打撃を受けているEU域内の農産物および食品部門を支援するための「例外的措置」のパッケージを発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。具体的には、主に以下の措置が含まれている。

  1. 市場供給量を減らし市場を再均衡させること目的とした、乳製品(脱脂粉乳、バター、チーズ)および食肉(牛肉、羊肉、山羊肉)を一時的に市場から隔離させる際の保管費用を補助する民間在庫補助(Private Storage Aid)の発動
  2. 生乳、花き、加工用ばれいしょについて、生産者や関連団体自らが市場の安定化のために共同で実施する市場隔離、無料配布、共同販売促進、生産調整などの市場対応策などを通じてEU競争法から一時的に逸脱することの許可
  3. 資金融通を可能とするため、ワイン、青果、テーブルオリーブ・オリーブオイル、養蜂および学校給食事業(牛乳・乳製品、果物、野菜)の市場支援プログラムを実施する際の柔軟性の許容

これらの措置は4月22日に発表され、欧州議会およびEU理事会(閣僚理事会)によってこの度、正式に採択されたもの。さらに欧州委は同日、追加的な対策として、EU各加盟国が、農村開発のための農村振興基金の未使用分から、生産者1人当たりに対し最大5,000ユーロ、また小規模の農業・食品事業者に対し1社最大で5万ユーロの助成金を年内に支払う新たな措置を欧州議会、EU理事会に提案した。

欧州委のヤヌシュ・ボイチェホフスキ農業・農村開発担当委員はプレスリリースの中で、新型コロナウイルスの影響により深刻な状況下にある生産者らを「支援するために必要なあらゆる措置をただちに利用できるよう迅速に行動した」と述べた。また、農業および食品市場が深刻な打撃を受けたことに言及したうえで、今回発表した措置が「市場に正しいシグナルを送り、早い段階で一定の安定をもたらすことを確信している」とした。

(安田啓)

(EU)

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