5月11日からの移動制限の解除に向けた国家戦略を発表

(フランス)

パリ発

2020年05月01日

フランスのフィリップ首相は4月28日、「ウイルスと共生」「段階的」「地域ごと」を基本方針とする移動制限解除に向けた国家戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを下院で発表した。5月11日以降は、人的距離の確保と手洗いに加え、特定の場合のマスク着用が義務付けられる。マスクは国内生産を総動員させ5月11日以降の需要に十分対応できるとし、企業に購入を求めた。週70万件を目標にPCR検査の数を増やし、陽性反応者を自宅または指定の宿泊施設などに隔離する。

加えて同首相は1日当たりの新たな感染者数3,000人以下を想定しているとし、5月7日時点の感染者数次第では、5月11日に解除しない、または厳格な解除になるとした。また、4月30日から県レベルで感染状況を評価し対策を講じ、5月11日以降、レストラン、カフェなどを除く店舗は原則として再開可能となるとした。6月2日以降(第2段階)のカフェ、バー、レストランの営業再開の可否は5月末に決定する予定としている。

教育機関については、5月11日から、幼稚園と小学校を再開するが、登校は任意とし、中学校の開校は5月18日以降とする。高校については、5月末に6月からの開校を検討するとしている。

企業活動については、今後最低3週間は可能な限り在宅勤務の継続を強く求め、不可能な場合はシフト制や時差通勤などの措置を奨励するとする。また企業の安全対策の参考資料として、業界団体と労働省作成の業種別対応マニュアル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを現在の33種類から5月11日までに60種類に増やすとする。また一時帰休制度は6月1日まで延長するとする。

公共交通機関については、パリ交通公団(RATP)による運行本数を5月11日に通常の70%に回復させるが、座席を半減し、利用者にマスク着用を義務付ける。他方、地域圏などを越える移動は職業上または家族に関わる緊急な事情がある場合に限定、運行本数もさらに減らすとしている。5月11日以降は、自宅から100キロ未満は証明書なしに自由に移動できる。

首相は、こうした措置を実施して行き、3月24日施行の衛生緊急事態宣言を(恐らく)7月23日まで延長させるため、新法案を5月2日に閣議決定し、5月4日の週に上下院の審議にかける予定だ。

(山崎あき)

(フランス)

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