米カリフォルニア州知事、大規模な失業と収入不足を反映した改定予算案を提示

(米国)

ロサンゼルス発

2020年05月22日

米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム州知事は5月14日、最新の経済見通しなどを踏まえ、2020-2021年度予算案の5月改定案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを州議会に提出した。56億ドルの財政黒字見通しだった1月の知事予算原案から一転、新型コロナウイルス感染拡大の影響による失業数増と税収減のため543億ドルの財政赤字となる厳しい内容となった。

改定予算案と同時に発表された経済見通しPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、同州の2020年第2四半期の失業率は24.5%(失業者数は約480万人)に達し、2020年の年間失業率は18%の水準と予測されている。ほとんどの業種で失業が発生するが、特に娯楽・ホスピタリティ産業(宿泊、飲食など)、事務(秘書、受付など)、廃棄物処理、修理、小売、その他のサービス分野などの業種では、IT、専門職および科学技術分野ほどテレワークに適応できないため雇用喪失がより深刻だと指摘する。

こうした失業や事業停止の影響により、州の税収は1月時点の見通しと比べて約410億ドル減少する見込みである。他方、医療や福祉サービスのための支出が増大するため、543億ドルの財政赤字となる見通しである。この赤字規模は、州の景気調整基金の積立金160億ドルの3倍以上の規模となる。

改定予算案では、財政赤字に対応するため、支出抑制や基金の取り崩しなどによる、543億ドル規模の財源確保などを提案している。具体的には、支出の取りやめおよび抑制で84億ドル、景気調整基金の積立金などの取り崩しで88億ドル、特別基金からの借り入れ、付け替えおよび繰り延べで104億ドル、一時的な税額控除の制限による収入増で44億ドル、連邦政府の補助金83億ドル、連邦政府に要求している追加補助金が交付されない場合の州政府予算の組み換えで140億ドル(教育予算、医療保険、在宅支援サービス、州政府人件費および州立公園への支出抑制)などで対応しようとする。

ニューサム知事は改定予算案の発表にあたって、「改定予算案は、(大規模な失業と収入不足という)緊急事態を反映している。最優先事項である公衆衛生、治安、公教育に資金を提供し、経済を再開するために労働者や中小企業を支援する予算を提案している」とコメントした。予算案は今後、州議会での調整・承認を経て知事が署名すれば、7月以降の新年度予算として執行される。

(北條隆)

(米国)

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