車両の衛星追跡システム装着義務化を1年先送り、大型乗用車、バス、トラックが対象

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年05月01日

ロシアのミハイル・ミシュスチン首相は4月28日、大型乗用車とバス、トラックを対象とした衛星追跡システム「GLONASS(グロナス)」端末の装着義務付けを1年先送りにし、2021年5月31日からとする連邦政府決定(2020年4月28日付第597号)に署名した。新型コロナウイルス感染拡大によって影響を受けている輸送業界の負担を軽減することが目的。

「グロナス」とはロシア版GPSを用いた衛星による追跡システムで、車両の走行ルート、スピード、燃費消費量などをモニタリングするもの(注)。主にスピード違反に起因する交通事故が多発していることを背景に装着の義務付けが決まっていた。

今回先送りの対象となるのは、定員8人超の大型乗用車(M2カテゴリー)、バス(M3カテゴリー)、危険品輸送に用いられるトラック(Nカテゴリー)に該当する車両。連邦政府は新型コロナウイルス感染拡大によって影響を受けている輸送業界の行政負担を軽減する措置と説明している(連邦政府発表4月29日)。

グロナス装着義務化の延期をめぐっては、大統領付属起業家権利保護全権代表でビジネス・オンブズマンのボリス・チトフ氏が輸送業界への支援策の1つとして政府に提案していた(「コメルサント」紙4月27日)。

(注)乗用車と小型商用車に装着が義務付けられている車両緊急通報システム「ERA-GRONASS」とは別のシステム(2019年12月5日記事参照)。

(齋藤寛)

(ロシア)

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