アシックスが世界初の「在宅フルマラソン」大会を開催

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2020年05月07日

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで4月10日、「在宅フルマラソン」大会が開催され、UAE在住のランナーを中心に749人がエントリー、155人が完走した。大手スポーツ用品メーカーのアシックスとドバイのランニングクラブ「5:30 RUN」が主催し、ドバイスポーツ省の協力を得て開催されたもので、5:30 RUNの主宰者がアシックスの提携ランナーであったことから共催が実現した。アシックスによると、行政公認の「在宅フルマラソン」大会は世界初。

ドバイでは、大会当日は24時間の外出禁止措置中で(2020年4月6日記事参照)、買い出しや医療機関受診以外の外出をすると罰金が課せられるなど厳しい制限がかけられていたため、市民の多くは運動不足によりストレスが溜まっていた。ランナーは自宅のベランダやリビング、庭などを往復するなどしてフルマラソンを走ることとし、共通のランニング用スマートフォンアプリで走行データを記録し、タイムを競った。155人の完走者全員にアシックスのTシャツが、また男女それぞれ上位3位にランニング用具一式が賞品として贈られた。

アシックスの在ドバイ現地法人(アシックスミドルイーストトレーディングLLC)ヘッド・オブ・コマーシャルの間野貴行氏は、「自由に外出ができず、陰鬱な雰囲気を吹き飛ばすために前向きな取り組みがしたいと考えていた。体を動かして楽しむきっかけになればうれしい」と話した。参加登録をしたランナーからは「参加予定だったマラソン大会が中止になってしまったが、代わりの目標にして頑張れる」などの声も届いたという。

同社は成長市場として東南アジア、インドに加えて中東を注力したい地域と位置付けている。中東では健康意識の高まりからスポーツ人口も増えるとみられており、モノブランドストアの新規開店、ECビジネスの拡大などを通じて、ランニングブランドとしての認知度向上とポジション確立を目指す。今回のイベントも現地紙やテレビニュースで取り上げられ、SNSでもランナー間で話題になっており、「ブランド認知向上のきっかけ作りとしても大成功」と間野氏は話した。

(山村千晴)

(アラブ首長国連邦)

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