WTO紛争解決の暫定上訴制度が有志国・地域間で適用開始に

(EU、世界)

ブリュッセル発

2020年05月01日

欧州委員会は4月30日、EU、カナダ、中国を含む19の有志のWTO加盟国・地域(注)が、「WTO紛争解決了解(DSU)第25条に基づく暫定的な多国間上訴制度(MPIA: Multi-party Interim Appeal Arbitration Arrangement)」(以下、暫定上訴制度)の設立を正式にWTOに通報した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと発表した。

暫定上訴制度は3月27日に、WTO紛争解決制度の一部として、有志のWTO加盟国・地域間で合意したもの(2020年3月30日記事参照)。同制度はWTOのDSU第25条で認められた、紛争解決の代替的手段としての仲裁手続きを具体化したものであるため、通報によって、今後、当事国・地域間のWTO紛争解決への適用が可能となった。実際に、WTO紛争解決において現在機能停止している上級委員会に代替する上訴プロセスとして機能するために、今後3カ月以内に10人の仲裁人を選定する。

他のWTO加盟国・地域は今後、いつでも同制度に加わることができる。

(注)オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、チリ、コロンビア、コスタリカ、EU、グアテマラ、香港、アイスランド、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、パキスタン、シンガポール、スイス、ウクライナ、ウルグアイ。3月27日の合意時に発表された参加国・地域に今回、アイスランド、パキスタン、ウクライナの3カ国が新たに加わった。

(安田啓)

(EU、世界)

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