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有志のWTO加盟国・地域、紛争解決の暫定上訴制度に合意

(EU)

ブリュッセル発

2020年03月30日

欧州委員会は3月27日、EU、カナダ、中国など16の有志のWTO加盟国・地域(注)が、WTO紛争解決手続きの一部としての、仲裁による暫定的な上訴制度に合意したと発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

これらの国・地域は、1月24日に取り交わした合意(2020年1月27日記事参照)に基づき、WTO紛争解決制度の上級審である上級委員会が機能停止している状況下での、「WTO紛争解決了解(DSU)第25条に基づく暫定的な多国間上訴制度」(以下、暫定上訴制度)の検討を進めてきた。3月27日の合意に基づき、必要に応じて参加国・地域の国内手続きを経た上で、今後数週間のうちにWTOに制度を通報した後に、暫定上訴制度の運用が開始されることになる。当該国・地域の閣僚による声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、「上級委員会の委員任命の行き詰まりに対する、必要な改革を含む解決こそが優先順位の高い緊急の課題で、われわれは引き続きこの課題に断固として積極的に取り組んでいく」とし、暫定上訴制度があくまでWTO上級委員会が正常な機能を回復するまでの一時的な措置であることを強調している。

EUは暫定上訴制度への参加国拡大を呼び掛け

欧州委のフィル・ホーガン委員(通商担当)は、WTO紛争解決制度の機能回復までの間、「国際貿易ルールの尊重と執行のために不可欠の仕組みと言えるこの開かれた合意に、他のWTO加盟国も参加してほしい」と呼び掛けた。EUとしては、6月に開催が予定されていた第12回WTO閣僚会議において、より多くのWTO加盟国・地域に暫定上訴制度への参加を呼び掛ける狙いがあったとみられるが、同会議は新型コロナウイルスの影響で延期されることが3月12日付で公表されている。

今回合意された手続きは、WTO紛争解決了解第17条が規定するWTO上級委員会の機能を、原則として踏襲する内容だ。上級委員会は常任の委員によって構成されるが、暫定上訴制度では、参加国・地域間で合意した10人の仲裁人リストの中から、紛争ごとに原則としてランダムで選出された3人の仲裁人が審理を行う。暫定上訴制度の適用は、同制度への参加に同意したWTO加盟国・地域間での紛争に限られる。

現時点では、参加国・地域はWTOの全164加盟国・地域の4分の1程度にとどまるが、中国が枠組みに参加していることなどから、制度の意義は小さくない。中国は、全WTO紛争案件595件(2020年3月27日現在)のうち、65件(提訴21件、被提訴44件)で当事国となっており、そのうちの24件(提訴5件、被提訴19件)が暫定上訴制度参加国・地域との間の紛争だ。

(注)オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、チリ、コロンビア、コスタリカ、EU、グアテマラ、香港、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、スイス、ウルグアイ。1月24日にスイス・ダボスにおいて発表された閣僚宣言の参加国・地域と比較すると、今回、香港が新たに参加した一方、韓国およびパナマが3月27日時点では参加を見送っている。

(安田啓)

(EU)

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