アンチダンピング調査規則の改正案を公表

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年05月01日

ブラジル経済省貿易局は4月27日、アンチダンピング関税賦課に関する調査方法の改正省令案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。同改正案は2020年6月26日までの60日間パブリックコメントに付され、外部からのコメントなどを踏まえて審議がなされた上で成案を得て公布される見込みだ。

改正案のポイントは大きく分けて4つの部分から構成される。

(1)調査申請前の事前相談手順の明文化

アンチダンピング調査申請をしようとする産業界が、申請書を正式に提出する前に非公式に申請書案を調査当局に示し当局から意見を受けようとする場合にその手順を明確化したもの。提出者が事前相談を希望する場合には、申請書の正式提出の最低1カ月前に電子的に経済省に申請書案を送付することや、当局が相談対応するに当たっては、中小零細企業の多い産業分野に優先して対応することなどが規定されている。

(2)アンチダンピング税を撤廃した場合の想定輸出価格

アンチダンピング税の賦課が開始されてから5年間の課税期限を迎えるに当たり、課税を継続するか撤廃するかを判定する際の手法を明確化するもの。輸出産品にアンチダンピング税が賦課されると、この影響により当該産品の対ブラジル輸出が停止される場合があり、ダンピング輸出が消滅することもある。他方で、アンチダンピング税が撤廃されると再びダンピング輸出が生じる可能性があることから、課税の撤廃か継続かの判定に際して想定輸出価格を設定して判定の材料にしようとするものである。想定輸出価格としては、当該産品のブラジル以外の国々への輸出価格を援用することとし幾つかの選択肢が提供されている。

(3)ダンピングの再発のおそれを判定する際の考慮事項

アンチダンピング税の継続か撤廃かを判定するに当たり、ダンピングの再発のおそれについて検討する場合に考慮すべき要因を明確化するもの。考慮要因としては、例えば、対象産品の価格動向、市場の状況、生産者の生産活動の状況、想定輸出価格で輸出が再開した場合のブラジル国内産業へ及ぼす影響などが挙げられている。

(4)ダンピングの再発のおそれを理由に課税継続する際の税率の考慮

ダンピングの再発のおそれを理由にアンチダンピング税賦課を継続する場合、税率は当初税率よりも軽減された税率を適用しようとするもの。アンチダンピング課税によって輸出が停止あるいは僅少となった状況では、ダンピングが再発したとしてもブラジル国内産業へのインパクトの度合は相対的に低いと考えられるためである。ダンピングの再発のおそれを理由に課税継続する場合には、当初税率よりも25%減率したものを基礎とし、推定された想定輸出価格が低廉な場合にはさらに大幅な減率を可とするものである。

(岩瀬恵一)

(ブラジル)

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