連邦政府、コロナ対策としてスポーツ競技団体に対する支援を決定

(スイス)

ジュネーブ発

2020年05月27日

連邦参事会(内閣)は5月20日、スポーツ競技団体の経営安定化に向けた財政支援を決定したと発表した。スポーツ振興に関する政令を改正し、スイスの市民参加競技やプロ競技の財政支援規定を盛り込む。連邦議会は今年分の支援について6月に審議する予定だ。

新型コロナウイルス感染対策のため連邦政府が講じた行動制限措置により経営情況が悪化したスポーツ競技団体に対して、短期・中期的に資金流動性を確保するために以下の措置が講じられる。

  • スイスサッカー連盟に対して1億スイス・フラン(約111億1,000万円、CHF、1CHF=約111円)、スイスアイスホッケー連盟に対して7,500万CHFのつなぎ融資を2020年、2021年(コロナ対策の影響が継続した場合)に行う。
  • 団体競技・選手競技を運営するスイスオリンピック協会に対して、2020年に5,000万CHF、2021年に1億CHFを拠出する。
  • ユース・スポーツ(J+S)活動の運営団体に対する特別拠出金を交付する。

連邦参事会は、今回のスポーツ競技のための安定化施策を、緊急対策として位置づけるのではなく、スポーツ振興政令を改正し、その中に恒久的に位置づけることを決定した。同改正政令ではサッカー連盟やアイスホッケー連盟のクラブがつなぎ融資を受けた際の配当禁止や財政改善義務、返済完了後5年以内に最低半年間クラブ運営ができるだけの安定化基金を設けること等の融資条件、そしてJ+S活動に対する特別拠出金の交付要件などが定められており、6月1日から施行予定だ。

以上のつなぎ融資と拠出金の2020年分予算手当は、6月から始まる夏季議会の承認を得る必要がある。2021年分については2021年通常予算に織り込む予定。J+S活動への特別拠出金は、政令上交付要件を変更した以外は既存の予算で対応する。

(和田恭)

(スイス)

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