連邦政府、ワイン製造業者への新型コロナ対策の支援決定

(スイス)

ジュネーブ発

2020年05月29日

スイス連邦参事会(内閣)は5月20日、新型コロナウイルス感染防止対策のための行動制限措置により、レストランの営業停止の影響を受けているワイン製造業者に対する支援策を発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。6月1日から施行する。

まず、原産地統制規則(AOC)の対象となるワインをテーブルワインにダウングレードして販売することを認める。テーブルワインとして扱われることにより、主として食品産業での消費が進むと想定される。販売単価の下落を埋め合わせるため、ワイン製造業者には1リットル当たり2スイス・フラン(約222円、1スイス・フラン=約111円)が給付される。

もう1つは、州が定める2020年の最大収穫高を引き下げ、ワイン生産を抑制することだ。

これらに応じるワイン製造業者向けに、連邦政府は1,000万スイス・フランの予算を計上しており、ワイン生産面積の割合に比例して各州に交付するが、それを使い切っても州独自の財源で支援を続けることができる。収穫高目標を設定するのは州のため、それを支える施策に州の財源を充てることは有効とされているからだ。

州が目標設定を行う際には、連邦の収量規制であるAOC白ワインについて、1平方メートル当たり1.2キログラム、AOC赤ワインは同1キログラムの制限値を尊重することが求められる。

スイスではもともと、農業と景観維持の観点から政府や州がワイン製造業者に対する生産量の抑制や支援を行ってきた。現在、国内消費におけるスイスワインの占める割合は4割程度だが、2018年の豊作もあり2019年末時点でスイスワインの在庫は1億6,300万リットル (AOCワイン)まで膨らんでいた。2019年のスイスワインの消費は2年連続で増加して2億5,500万リットルとなったが、2020年に入り、政府が3月16日に新型コロナ対策として行動制限措置を導入したことにより、レストランの営業や屋外での集会が規制され、ワインの販売額は減少している。今回は在庫対策と生産量抑制の両面から対策を講じることとなる。

(和田恭)

(スイス)

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