新型コロナウイルス対策で銅を用いた除菌に注目

(チリ)

サンティアゴ発

2020年05月15日

チリで、新型コロナウイルス感染拡大の危機下、伝統的な輸出品である銅が新たなかたちで注目されている。5月12日にチリ政府のウェブサイト上でバルド・プロクリカ鉱業相が、銅のナノ粒子を用いて人々の往来が集中する地域の殺菌や消毒を行う方針を打ち出した。

鉱業省は既に、ナノ科学を専門とした研究開発拠点を国内に持つアインテック(Aintech)の製品を活用し、鉱業省関連機関の玄関ホールやエレベーター内、オフィス内部など1,800平方メートル以上の消毒作業を完了しており、同製品は一部の医療機関や空港、バスターミナル、教育機関、高齢者介護施設でも使用されている。

プロクリカ鉱業相は、アインテックの例を引き合いに出しながら、「チリは鉱業国としての強みを生かしながら、新型コロナウイルスに苦しむ世界中の国々のために貢献することが可能だ」とコメントした。今後は、ウイルス感染拡大の媒体として懸念される紙幣や、銀行が発行するカード類への同様の技術の応用について検討が行われる。

アインテック製の銅ナノ粒子関連製品には、液体状のデクテック(DECUTEC)とスプレー状のエアーコップ(AIRCOP)があるが、いずれもECサイトなどを通じて購入が可能。同社が開発した銅ナノ粒子は、大きさや純度、安定性の面で独自性を有しており、空気中の99.9%の病原体を除去し、バクテリアやウイルスの拡散を防止するもの。一度使用することでおよそ2週間の効力を持つと同ウェブサイト上で報じている。

(佐藤竣平)

(チリ)

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