2人の子供の出産を奨励、政府が人口規模の維持に本腰

(ベトナム)

アジア大洋州課

2020年05月15日

ベトナム政府は4月28日、首相決定588/QD-TYg号を公布し、「2030年までの地域・対象別の出生率調整プログラム」を承認した。政府は2019年11月に「2030年までのベトナム人口戦略」を承認しており、2030年までに合計特殊出生率を人口置換水準とされる2.1とすること、および地方間の合計特殊出生率の差を50%縮めることを目標に掲げていた。今回の決定では、人口戦略で掲げた目標の実現に向けて、2030年までに以下を達成するとされた。

  • 出生率が低水準(出産可能年齢の女性の子供の数の平均が2.0人未満)にある21の省市(注)の合計特殊出生率を10%増加させる
  • 出生率が高水準(同2.2人超)にある9の省の合計特殊出生率を10%減少させる
  • 出生率が人口置換水準(同2.0~2.2)を満たす33の省市はこれを維持する

また、即時に実施すべき取り組みの一つとして、各地方は、夫婦がきっちり2人の子供を産むための奨励策を検討し、特に、以下の内容を試験実施する必要があるとされた。

  1. 結婚や家族に関する相談サービスによる支援:出会いの機会の充実、結婚前の健康相談、男女とも30歳までの結婚と早期出産、35歳までの2人目の出産の奨励。
  2. 小さい子供を育てる家族に適した環境、コミュニティの構築:労働者に適したサービスの試験実施と拡大(子供の送り迎え、保育、母乳バンクなど)。特に、工業団地や経済区での幼稚園、保育園の計画、建設に注力。
  3. 女性が妊娠、出産し2人の子供を産むことの支援:母子の健康の相談とケア、産後速やかな職場復帰の環境整備、個人所得税の減税など。
  4. 夫婦が2人の子供を持つことの支援、奨励:社会住宅の購入支援、公立校への優先入学、教育費の支援、未婚者や晩婚者の社会貢献増など。

ベトナムでは1961年から家族計画政策を実施しており、政府が国民の出産に関与することは一般に広く浸透している。政府は、人口が急増し国民生活が困窮することを恐れて、法令で「子供は1人または2人」と規定するなど、長らく人口増を抑制する方針を取ってきた。しかし、近年は、出生率の低下傾向(添付資料図参照)や高齢化問題に対処するため、人口置換水準の出生率を維持する方針に転換している。

(注)ホーチミンを中心とする南部では出生率が低い傾向があり、出生率が低い地域のほとんどは南部の省市となっている。経済発展による価値観やライフスタイルの多様化が背景にあると考えらえる。他方、北部は、経済発展が南部と比べれば遅れ、男児を好む伝統的価値観が色濃いとされ、出生率が高い傾向がある。

(北嶋誠士)

(ベトナム)

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