アルゼンチン航空、子会社のアウストラル航空を合併へ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年05月11日

アルゼンチンの国営アルゼンチン航空は5月5日、自社のSNSなどを通じて、子会社のアウストラル航空との合併手続きを開始したことを発表した。同社のパブロ・セリアニ最高経営責任者(CEO)も自身のSNSで、新型コロナウイルスによって経営状況に厳しさが増す中、両者の合併を通じた生き残りを率先して行う必要性を強調した。今後、株主総会での決定を通じて、早ければ2021年には手続きを完了する。

セリアニCEOは、貨物部門と航空機整備に関する2つのビジネスユニット設立を計画している。同部門を外部に委託することで経費の削減を目指すとしている。5月7日付の現地紙「iプロフェッショナル」によると、両社で重複する業務を効率化することで、合併初年度で1億ドルの節約が見込めるとしている。

新型コロナ感染拡大の影響により、アルゼンチンでは民間機の運航が8月末まで規制されている(2020年5月7日記事参照)。アルゼンチン航空としては、体質改善を図ることでスタッフの給与削減や航空機の維持などの問題に対応したい、としている。

アルゼンチン航空は、国内経済が落ち込んだ2019年には6億8,000万ドルの赤字を計上するなど、厳しい経営状況が続いている。

同航空は1950年に設立され、1990年代初頭に民営化したものの、2008年からは再び国有化されている。アウストラル航空は1957年に設立し、同国南部を中心に運航してきた。1990年代以降、アルゼンチン航空の傘下に入っている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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