香港政府、中国で生産を行う企業に対する香港入境時の強制検疫を免除

(香港)

香港発

2020年05月07日

香港政府は5月4日、中国本土で生産を行う香港企業に対し、申請により香港入境時の強制検疫を免除すると発表した。申請受付を即日開始した。

現在、中国本土、マカオ、台湾からの全ての入境者に対する14日間の強制検疫措置が実施されているが(2020年4月30日記事参照)、当該措置の発表時に強制検疫の対象外とされた、「香港経済の発展や利益に資する生産活動への従事者」の定義が、今回具体的に発表された。

対象となるのは以下の2者。

  1. 商業登記条例に基づき発行された有効な商業登記証を有し、かつ中国本土で製造業を営む香港企業オーナー、および当該企業に雇用され授権された1人までの者
  2. 1.に記載された企業に雇用され、授権された2人までの者

免除対象者は、当該香港企業の中国本土製造工場が所在する都市にのみ滞在し、本土滞在期間中はあらゆる感染予防措置を講じ、不必要な社会的接触を避けなければならない。また、香港に戻り、香港に滞在する期間中は、衛生署の医学観察を受け、マスクを着用して毎日検温し、不調があれば衛生署に報告しなければならないとされている。

今回の措置に対し、香港工業総会の葉中賢主席は「中国、香港間の生産活動維持の助けとなり、特に越境ビジネスに従事する高技能人材の失業抑制に一定の役割を果たす」と期待する。一方、香港中華廠商連合会の呉宏斌会長は「香港内2万~3万社に申請資格があり、措置を歓迎する」としつつも、「本措置は香港入境時の検疫免除で、本土側で隔離されてしまうのであれば、利用をちゅうちょする」とコメントしている(「Lion Rock Daily」5月5日)。

(渕田裕介)

(香港)

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