制限措置の緩和で月94億豪ドルの経済押し上げ効果を予測

(オーストラリア)

シドニー発

2020年05月14日

オーストラリア連邦政府は5月12日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するための制限措置について、政府の計画にしたがって7月までに緩和された場合、国内総生産(GDP)が毎月94億オーストラリア・ドル(約6,392億円、豪ドル、1豪ドル=約68円)押し上げられるとの見通しを示した。

連邦政府は、7月までに3段階に分けて制限措置を緩和する計画を発表しており(2020年5月12日記事参照)、第1段階の制限緩和だけでも、25万人以上が仕事に復帰でき、30億豪ドル以上のGDP押し上げにつながる、とされている。最終的には、85万人が仕事に復帰できると予測されており、その半分以上は、宿泊・飲食サービス(33万8,000人)、芸術・娯楽サービス(7万6,000人)、運輸・郵便・倉庫業(7万1,000人)が占める、とされている。

ただし、経済活動の再開は、人々が健康や衛生環境に関するアドバイスを継続することによって達成されるもので、再び社会的距離の制限措置を導入しなければならなくなった場合、国内経済は週当たり40億豪ドル以上の打撃を受けることになる、と警鐘を鳴らしている。

財政赤字は224億豪ドル

ジョシュ・フライデンバーグ財務相は5月12日、新型コロナウイルスの影響による財政の現状とオーストラリア経済の見通しについて演説を行い、3月末時点で財政赤字が224億豪ドル(約1兆5,232億円)となったことを明らかにした。

税収は12月時点の政府予測から113億豪ドル少なくなり、財政赤字は予測を99億豪ドル上回った。歳出も予測より14億豪ドル少なかったが、これまでに連邦政府が打ち出した総額3,200億豪ドル(GDPの16.4%相当)の経済支援策の実施によって、今後は増加することが見込まれている。

オーストラリア経済については、2020年第2四半期(4月~6月)に、GDPは10%以上減少し、失業率は約10%まで達すると予測しており、家計消費は約16%減、企業投資や住宅投資はそれぞれ約18%減と、いずれも急落するとの見通しを示している。

(住裕美)

(オーストラリア)

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