米ウィスコンシン州最高裁、州知事の自宅待機命令を無効と判決

(米国)

シカゴ発

2020年05月20日

米国ウィスコンシン州最高裁は5月13日、トニー・エバーズ州知事(民主党)が発令している5月26日までの自宅待機命令を無効とする判決を下した。

エバーズ州知事は4月中旬に自宅待機命令を5月26日まで延長することを発表。それに対し、共和党議員が「議会を通さずに決定されたのは違法」と訴えた。判事の過半数が保守派の州最高裁は訴えを認め、自宅待機命令は即日で無効となった。エバーズ州知事は「州は混乱に陥る」「新規感染者、死者が増える」と述べ、判決を非難した。判決を受け、州保健局は14日に自宅待機命令を部分的に復活する要望を記した陳述書を議会に提出した。しかし、当初の自宅待機命令に代わる新たなルール作りには議会の承認が必要であることや数週間の期間を要することなど課題がある。一方、共和党議員は民主党と共同で今後の規制について話し合いを始めると述べた。

判決を受け、同州のバー業界団体は会員に営業再開を呼びかけた。報道によると、営業を再開した一部の店舗にはマスクの着用やソーシャルディスタンスが守られることなく、客が押し寄せたという。

一方、州の命令とは別に、ミルウォーキー市が属するラシーン郡や州都マディソン市があるデーン郡、また食肉加工工場などが独自に自宅待機命令を発令し、州と郡や市、事業者による規制が錯綜(さくそう)している。

ウィスコンシン州保健局によると、5月18日までの同州の感染者数は1万2,687人、死者は459人だ。

ウィスコンシン州では4月にエバーズ州知事が発令した大統領選民主党候補者の予備選挙の延期命令が州最高裁の判断により無効とされる(2020年4月9日記事参照)など、民主党の知事と共和党が過半数を占める州議会が激しく対立している。

(大土萌子)

(米国)

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