2~4月の失業率は5.2%、過去10年で最悪に

(香港)

香港発

2020年05月21日

香港政府統計処は5月19日、2~4月の失業率(季節調整済み、速報値)は5.2%で、2020年1~3月から1.0ポイント上昇したと発表した。この10年で最も高い水準となった。

香港の失業率は、「逃亡犯条例」改正案への抗議活動が活発化した2019年半ば以降、2.9%に上昇し、2019年8月~10月期以降は7期連続で悪化している(添付資料表参照)。

香港政府労働・福祉局の羅致光局長は「新型コロナウイルスの感染拡大は、引き続き経済活動に広く影響を与えており、労働市場はさらに急激に悪化している」とし、「総就業者数も前年同期比マイナス5.4%、労働人口はマイナス3.0%で、統計開始以来最大の下げ幅となった」としている。

小売り・ホテル・飲食サービス業は厳しい情勢が続く

主要業種で失業率は上昇しているが、中でも小売り・ホテル・飲食サービス業は厳しさを増している。これら3業種の失業率は9.0%で、2020年1~3月期に比べて2.2ポイント上昇し、過去15年で最高水準となった。特に飲食サービス業の失業率は、12%に達している。羅局長は、これらの業種に加え、建築業、教育業、情報・通信業、専門サービス・ビジネスサービス業の状況が悪化しているとした。

写真 大手スポーツブランドの撤退後、空室が続く路面店(ジェトロ撮影)

大手スポーツブランドの撤退後、空室が続く路面店(ジェトロ撮影)

第3四半期には6%突破の見方も

英国金融大手スタンダード・チャータード銀行の劉健恒(ケルビン・ラウ)シニアエコノミストは「社会的距離(ソーシャルディスタンス)措置が今後しばらく継続すると考えられ、抗議活動も再び活発化する兆しが見られる中、香港経済は短期的にはプレッシャーに直面する状況が継続する」とし、2020年第3四半期(7~9月)の失業率は6%に達する可能性も指摘している(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙5月20日)。

(渕田裕介)

(香港)

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