第1四半期のGDP成長率はマイナス8.9%、統計開始以降で最悪に

(香港)

香港発

2020年05月08日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)統計処は5月4日、2020年第1四半期(1~3月)の香港の実質GDP成長率の推定値が前年同期比でマイナス8.9%だったと発表した(添付資料図参照)。リーマン・ショック後の2009年第1四半期(マイナス7.8%)の数値を下回り、1974年に香港政府が統計を開始して以降で最悪の数字を記録した。主に、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による内外需の低迷が影響した。

GDPを需要項目別にみると、個人消費支出は前年同期比10.2%減と前期(2.9%減)から7.3ポイント下落した。一方で、政府消費支出は8.3%増と前期(6.1%増)から2.2ポイント上昇し、固定資本形成は13.9%減と前期(16.8%減)から2.9ポイント上昇した。

貿易は、財輸出が9.7%減で前期(2.5%減)から7.2ポイント下落し、財輸入も10.9%減と前期(7.0%減)より3.9ポイント下落した。サービス輸出は37.8%減で前期(24.2%減)から13.6ポイント下落し、統計開始以降で最大の下落幅を記録した。サービス輸入は25.4%減と、前期(5.2%減)より20.2ポイント下落した。

香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は、同日に行った記者会見において、「2年前に始まった米中貿易摩擦による輸出への影響に加え、2019年のデモ・抗議活動、そして新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、香港経済を牽引すべき輸出、消費および投資支出の全てが低迷した」と述べた。第2四半期以降について、陳財政長官は「新型コロナウイルスが終息したとしても、世界経済が完全に回復軌道に乗るまでは時間を要するため、輸出の大幅な改善は期待できない」などと述べ、今後の状況は楽観視できないとの見通しを示した。

併せて香港政府は、2020年のGDP成長率の推計値をマイナス1.5~0.5%からマイナス4~9%へ修正したと発表した。香港政府は5月15日に修正後のGDP成長率およびその他の経済分析の結果を公表する。

(吉田和仁)

(香港)

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