経済界が国家的合意形成にむけた68の提案を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2020年05月08日

日本の経団連に相当する企業家調整評議会(CCE)は5月6日、新型コロナウイルス感染拡大による危機に対処するための国家的合意形成に向けた68の提案を発表した。4月27~29日にかけて官民263のパネリストの参加を得て開催した11のウェブ会議の議論を集約したものだ。

68の提案は大きく分けて、(1)緊急対策、(2)経済活動再開に向けた対策、(3)包括的経済成長と社会開発の起爆剤となる中長期的対策、の3つに分かれる。(1)では国民の健康、福祉、経済、金融・財政に関する27の提案から成る。経済分野では、危機に対処するための官民合同審議会の設置、観光、宿泊、レストラン、航空など深刻な影響を受けた産業への特別支援策、付加価値税(IVA)の還付迅速化と他の税目の納税額との相殺、社会保険料や納税の繰り延べ、損金算入制限の一時的縮小、などを提案しており、金融・財政の分野ではGDPの0.5~5%程度の債務を増やすことで危機に対処し、歳出を緊急性の高い目的に振り向けることを提案している。(2)では、操業再開時の感染予防策、サプライチェーンの分断を招かずに操業を再開するための調整、操業再開の円滑化に関する11の提案から成り、操業再開後の感染者の適時把握のための検査増、どの地域でどの産業の操業を再開するかの早急な決定、米国やカナダとの間の「不可欠な活動」の定義統一、操業再開手続きの簡素化・円滑化、などを提案している。(3)については、社会政策、経済政策、法の支配の強化に関する30の提案からなり、経済政策では危機後の国内消費活性化に向けたキャンペーン、投資促進に向けた加速度償却制度の導入、社会的収益性が高いインフラプロジェクトの推進、エネルギー分野の投資促進、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を活用した北米のサプライチェーン強化、輸出先多角化に向けた欧州、中南米、アジアとの貿易協定の活用促進、などを提案している。

AMLOの方針転換に高い壁

CCEの提案を受けても、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領の方針は変わらないようだ。5月7日の早朝記者会見において、一部の層(経営層)を支援するために国が借金を増やすことはないとし、現政権としては社会的弱者を優先する主張を繰り返した。また、総合福祉政策で既に6割の家庭に支援が届いており、危機対策で7割まで拡大するとしている。他方、全国工業会議所連合会(CONCAMIN)が傘下の会議所の会員企業に対して5月1~4日に実施したアンケート調査によると、新型コロナに関連して連邦政府から支援を受けた企業の比率は3.88%に過ぎなかった。州政府の支援を受けた企業は8.94%に及ぶため、連邦政府の支援が少ない現状が分かる。同調査で雇用を減らさざるを得なかったと回答した企業は52.3%に及ぶため、正規雇用の喪失が今後加速することは間違いない。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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