ブエノスアイレス州、自動車産業などの再開に着手

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年05月25日

連邦政府は5月19日付で行政措置818/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。ブエノスアイレス州政府の要請に基づき、ブエノスアイレス市およびブエノスアイレス州周辺40都市から構成されるブエノスアイレス首都圏(AMBA)に位置する6つの自治体における産業活動の再開を5月20日から許可した。

衛生上のプロトコル(手順)を順守することを条件に、活動再開が許可された自治体と対象分野は以下のとおり。

  • ラ・マタンサ市:自動車および自動車部品、衣類、冶金(やきん)・機械類、履物類、出版・印刷・製本、木材および家具、玩具、繊維品、化学および石油化学、プラスチックおよび関連品
  • ピラール市:たばこ、自動車部品、機械部品
  • キルメス市:玩具、繊維品
  • へネラル・サン・マルティン市:自動車および自動車部品、電気および家電品、衣類、たばこ、冶金および機械類、履物類、出版・印刷・製本、木材および家具、玩具、セメント、繊維品、皮革関連製品、タイヤ、自転車および二輪車、化学および石油化学、セルロースおよび製紙、プラスチックおよび関連品、セラミック
  • トレス・デ・フェブレーロ市:自動車および自動車部品
  • サラテ市:自動車および自動車部品

ブエノスアイレス州政府は、5月19日付労働省決議174/2020号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に基づき、従業員を理由なく休職扱いまたは解雇した企業に対し、連邦の政令329/2020号およびその改正措置(2020年5月21日記事参照)に反する「重大な違反行為をしたとみなす」とした。罰金として、休職扱いまたは解雇した従業員1人当たり、最低賃金〔1万6,875ペソ(約2万6,663円、1ペソ=約1.58円)〕の30%から200%(5,063ペソから3万3,750ペソ)を、州内に所在する民間企業に科すことができる。雇用を保証することで、社会平和を保つのが目的、と説明している。

ブエノスアイレス州には、国内の主要製造業が集積しており、全人口の約38%(1,700万人)が居住している。また、ブエノスアイレス市を囲む近郊地域には、1,800の貧民街が存在し、新型コロナウイルス感染が広がる恐れが最も高い地域とされている。

ブエノスアイレス州内企業の産業活動再開が国内経済に与える影響は大きい。アルゼンチン保健省によれば、全国の感染者数は9,283人(うち死者403人)に上り、その内ブエノスアイレス州における感染者数は3,096人(うち死者は162人)で、首都ブエノスアイレス市(感染者数3,802人、うち死者136人)に次ぐ規模となっている。

なお、ブエノスアイレス市内の商業活動は、5月11日から対象業種を絞って段階的に再開された(2020年5月11日記事参照)が、ブエノスアイレス州政府は市の取り組みを批判している。アクセル・キシロフ・ブエノスアイレス州知事は、ラジオ番組のインタビューを通じて、「(ブエノスアイレス市の)緩和措置は、リスクが高いとみていた。感染者数が増加しているなら緩和するのではなく(措置を)強化するのが当然」だとし、市が再開対象業種を更に拡大するようであれば、「州民は、ブエノスアイレス市に移動すべきではない」とも発言している。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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