医療用マスクの輸出制限を解除

(台湾)

中国北アジア課

2020年05月29日

台湾は2020年1月24日から医療用マスクの自由販売ならびに輸出を禁止していたが、域内の新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いてきたことを受け、6月1日より台湾域内外での自由販売を解禁する。台湾のマスク日産能力は、1月末時点で188万枚だったが、政府主導で製造ラインを増設するなど増産に努めた結果、5月17日には2,000万枚を達成、政府による備蓄枚数は2億~3億枚となるなど、域内需要の安定が図られ、感染症再流行への対策が整ったことによるもの。

ただし、市民への実名制販売は継続し、政府が全量買い上げてきたマスクの枚数を1日当たり800万枚に引き下げることで、1日当たり最大1,200万枚の輸出が可能となるが、政府の備蓄枚数が1億枚を下回れば、徴用枚数を1,200万枚に引き上げるとしている。

また、台湾財政部は2月末よりマスクの輸入関税を0%にしてきたが、輸入ニーズがなくなったことに加え、国内メーカーの競争力が阻害されないための配慮から、6月1日の解禁に先立ち、5月27日からマスクの輸入関税を従来の7.5%に戻した。

今回の解禁発表を受け、台湾のマスクメーカーには、日本をはじめとする諸外国から大量受注が相次ぐなど、台湾製マスクの品質の良さが海外市場で高く評価されているため、政府は引き続き、マスク供給面で国際社会に貢献していきつつ、台湾ブランドによる海外市場開拓を推し進めるとしている。

また、台湾財政部は、2月27日~5月26日までの期限付きで、消毒用アルコール原料の輸入関税を20%から10%に引き下げていたが、今年の1月以降、輸入価格が高騰し、メーカーの生産コストが上昇していることから、8月26日まで関税の減税措置延長を決めた。当初、財政部内から、関税率の調整は「税関輸入関税」規則の修正が必要との指摘があったが、関税法第71条に基づき、国内あるいは国際経済の特殊な状況下において、一般輸入貨物の場合は規定税率の50%以内の増減、バルク材料の場合は100%以内の増減の範囲内であれば、機動的な調整が許容されると行政院が判断した。

(相馬巳貴子)

(台湾)

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