カナダの4月の失業率13.0%、史上2番目の高率

(カナダ)

トロント発

2020年05月12日

カナダ統計局が5月8日に発表した4月の労働力調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、雇用者数は前月比199万3,800人(11.0%)減少し、1,618万4,900人だった。失業者数は87万1,300人(56.3%)増加し、失業率は前月から5.2ポイント上昇して13.0%となった。1カ月間で5.2ポイントの上昇は、比較可能なデータを利用できるようになった1976年以降で最大の値。失業率自体も、1982年12月の13.1%に次ぐ高率となった。

雇用者数の前月比での変化を業種別でみると、生産部門では、建設(31万3,600人減:21.1%減)、製造業(26万7,100人減:15.7%減)、林業、水産業、鉱業、採石、石油・ガス(2万8,600人減:9.0%減)、農業(1万1,200人減:3.9%減)と減少している。建設部門の雇用は、3月の減少はわずか(前月比0.1%減)で、当初、建設業は多くの州で必要不可欠な事業に指定されていたが、4月以降は、道路工事や病院の建設など緊急性の高い建設工事に限って事業の継続が認められるようになり、雇用者数を大きく減らすことになった。製造業も3月は2.0%減だったが、4月は15.7%減と減少幅が拡大した。2月以降、輸送機器、機械、金属加工製品などの分野での雇用が最も減少しており、サプライチェーンの制約や一部製品の需要の低下を反映している。一方、食品製造業の雇用は安定している。

サービス部門の雇用者数の変化については、卸・小売り(37万4,700人減:14.0%減)、宿泊・外食(32万600人:34.3%減)、ヘルスケア・社会支援(12万9,100人:5.3%減)、運輸・倉庫(10万2,800人:10.4%減)などが大きく減少した。宿泊・外食の雇用者数は2月から61万5,000人(50.0%)減少しており、飲食サービスやキッチンスタッフなどの職業の雇用が最も減少した。

雇用者数の変化を企業の規模別でみると、従業員100人以上の企業では、2月から4月に雇用者数は原数値で12.6%の減少だったが、従業員20~99人の企業では25.1%減、従業員20人未満の企業では30.8%減と、小規模企業に対する雇用への影響がより大きく出ている。

今回の調査では、在宅勤務に関わる質問も行われたが、4月12日の週に通常の勤務時間の半分以上働いた労働者は1,200万人にとどまった。また、推定500万人が勤務時間のほとんどを在宅で働いており、この中には、通常は自宅以外の場所で働いている330万人の労働者が含まれている。労働者が1時間以上の在宅勤務を行った割合を業種別にみると、専門・科学・技術サービス(75.5%)、金融・保険・不動産(67.4%)、行政(62.6%)など、同僚、顧客、公衆などと密接に接触する必要性の少ない分野で在宅比率が高かった。

今回の労働力調査結果の発表を受け、カナダ商工会議所のペリン・ビーティー会頭は「今回の調査は、カナダ緊急賃金助成制度(CEWS)が実施される前に行われたもので、5月3日までにCEWSに9万6,000件の申請があったことを考えると、来月に発表されるデータではその効果がみられることを期待している。重要なのは、経済が再開した後、企業がどれだけ迅速に再雇用できるか、または再雇用するかだ。州や準州により、経済が再開されていく時期や条件が異なる中で、われわれは各区域のデータを厳密に監視していく」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

(酒井拓司)

(カナダ)

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